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「ただいまー」



「おかえりなさいませ アーシュ様」




いつもの”おかえり”じゃない声。
迎えたのは使用人たちだった。





「あれ?…トーコは?」



「トーコ様なら朝からお出掛けになりましたよ」



「え?

…どこに行ったか分かる?」



「いいえ、存じ上げていません

すぐ戻るとおっしゃっていたのですが…」





心配そうな顔をする使用人たち。


元々明るいトーコはここの使用人たちとも仲がいい。


…たまに妬ける原因なんだけど。







「そっか、ありがと

遠くには行ってないと思うから 僕が捜してくるよ!」




「は…はい、お気をつけて」








くるりと背を向けて扉を閉めた。



遠くには行っていないだろう。

…僕がそう言ったから。







「さて、と…」







とりあえず家から離れて歩いてみる。



…彼女が僕から離れないということは分かっているのに、


…彼女が隣にいないことがこんなにも不安を駆り立てる。







「…まったく、

…見つけたらおしおきだね…」





苦笑しながらきょろきょろと辺りを見回した。



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