短編小説 その他×望美

□君のために出来ること
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※ゲーム中(景時蜜月イベント3)



このまま…時空がとまってしまえばいい。










「か、景時さ、ん」
「ゴメン、今オレの顔見られたくないから」

そう言うと身じろいでいた彼女はオレの腕の中でおとなしくなった。





今の、この瞬間だけは…この人はオレのものだと思わせてほしいと思っている自分がいる。










―貴方が気になるのは、きっと私が景時さんを好きだから―



ダメだよ。
オレは君を幸せには出来ない。
むしろ…これからもっと傷つけるのに。





どうして「オレ」なんだ?
君に好意を持ってる奴は他にも沢山いる。
オレなんかより、君を幸せ出来る人がいるのに。


でも…










嬉しかった。

オレだって。
オレだって君の事が…









「好き」なんだ。



オレも君に素直に気持ちを伝えてしまいたい。
でも…この想いは決して口にしてはいけないんだ。


だって君は…










―鎌倉で何かあったんじゃないですか?―

そうやってオレの嘘を見破ってしまう人だから。



今、この想いを口にすることは君をさらに傷つける。
それは「オレ」自身が許せない。





「望美ちゃん」
「は、はい」
「君は…この戦、早く終わらせたい?」

今だに彼女を腕に閉じ込めたままの状態で問うた。


「はい。だって私はそのためにいるんですから。」
「…そうか、そうだよね」
「でもそれが"一番"じゃありません」
「えっ?」





「私の願いは皆を"守る"ことです」

―――っ!!!

「それを叶えるためには戦を終わらせなきゃいけないから。だから早く終わらせたい。
私きっと守ってみせますから。皆を…景時さんを。」





腕に閉じ込めているから。
彼女の顔を見ることは出来なかった。
だけどオレには今彼女がどんな顔をしているか解る。



そう…戦上で見せる、あの勇ましく、前を見続けるあの顔だ。

とても眩しくて、オレには手が届きそうにない存在。
オレは彼女をそう見ていた。彼女はオレにとって…「憧れ」だったんだ。





そんな彼女がオレを想ってくれている。
だからオレは。



「そうだね。オレも守るよ。皆を…君を。」





「オレなり」の守り方で。
…君の「命」を守るためなら。どんな手段を使っても。




















例えそれが…君を傷つける方法になっても。



→あとがき

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