短編小説 その他×望美

□背中合わせ
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※ゲーム中(時間軸指定無し)



春日望美は、今日も前を見据える。

彼女の、白龍の神子の力は「進む力、変える力」。
その名の通りに行動している彼女の願いは…たった一つだけ。





運命を変えること。
…大切な人を守り抜くことだ。

その願いを叶えるためならば、彼女は突き進む。
たとえ誰に責められたとしても。
それが彼女の「生きる」理由だから。









そして、それを行っている人物がもう一人。
彼女の八葉であり、剣の師匠である地の玄武、リズヴァーン。

彼もまた、彼女と同じく運命を変える力を手にしたもの。

彼の願いもまた、たった一つだけで、その願いすら…彼女と全く一緒。





「表裏一体」の二人。
彼女が光ならば、彼は影。
お互いがお互いの運命を上書きし合う。





まさしく無限に続く迷路をさ迷う時空の放浪者。



それでも二人は上書きすることを止めない。
そしてお互いにその事を語り合うこともできない。





それがお互いの運命を歪めると知っているから。
歪めた事でお互いがお互いを、何度も何度も「失って」いるから。

また彼女がどこかの時空で彼を失っても。
彼はそれをを知る事はない。
その時空の彼自身が…「死んでいる」からだ。
そしてこれもまた、逆も然り…である。





つまりお互いに自分が死んだ運命は知らなくて。
知っているのは自分の大切な人の「死」ばかり。

何度失えば。
何度巡れば辿り着けるのか。
二人の想いは一緒のはずなのに。










何故…二人はこんなにもすれ違ってしまうんだろう。

二人にその力を与えた神ですら…そのことを知る由も無いなんて。





残酷だ。
ある意味、「死」よりも辛く。
時空そのものが二人にとって生き地獄。





それでも二人は走り続ける。

彼を。
彼女を。
「守りたい」から。





それを果たすためならば。二人は何度も選ぶのだ。




















果てしない時空の放浪者になることを。



→あとがき

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