コンクール用book

□三本のたが
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むかしむかし、ある所に、たくさんのお姫様を持つ王様とお妃様がいらっしゃいました。
その中でも、一番末のお姫様はたいそうな器量良しで、姫様を見た者は、誰もが姫様のことを一目で好きになる程でした。
姫様もそのことを十分にご存知で、そのため、やや我が侭な性格にお育ちになりました。



ある日、姫様はお城の近くの森の中で一人で遊んでおられました。
金の刺繍糸で丁寧に作られた金のまりを、姫様は空高く放り上げ、それを受け取ってはまた放り投げ…
太陽の明るい光がまりに反射して、それはそれは美しく、姫様は夢中になって何度も何度もまりを空に向かって放り上げました。



「あ……!!」



ところが、あまりに高く放り投げすぎたのか、姫様はそのまりを受け取り損ねてしまいました。
姫様の指先に当たって転がった金のまりは、ころころ転がって泉の中に落ちました。



泉の底に沈んだまりを、姫様にはどうすることも出来ません。
大好きなまりを失ってしまった悲しみに、姫様は泉のほとりに座りこんでわんわん泣き叫びました。


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