book

□5:迷いの森
1ページ/6ページ

(さぁて、どこへ行くか…っていっても、とりあえずは町だよな。
でも、街道に沿って行くわけだから町はここからだと東の方角になるな。
婆さんは北に行けって言ってたけど…う〜ん、どうしたものか…困ったもんだな…)

そんなことを考えながらディヴィッドがゆっくりと歩いていると、後ろから大きな荷物を背負った商人らしき男がディヴィッドを追い抜いて行った。



「あ、ちょっとちょっと!」

「はい、なんです?」

「あんたはこのあたりのことに詳しいかい?」

「まぁ、それなりには…」

男は急いでいるのか、その返答は至って素っ気無い。



「町は、ここから東にしかないかな?」

「いいえ、ほら、あそこ…あそこから道が分かれてるでしょう?
あそこを北に進んでも町がありますよ。
ですが…」



「やぁ!ヘンダーソンさん!
あんたも今から商売ですか?
では、お互い、頑張りましょうや!」

話を聞いていたディヴィッドの後ろを、同じように大きな荷物を背負った男が通り過ぎて行った。



「あの野郎!また、俺と同じ町に…
こうしてはいられない!
では…失礼します!」

男は一方的にそう言い残すと、小走りで先ほどの男を追いかけて行った…



「商売仇か、大変だな…
しかし、こいつはツイてたな。
北にも町があるんなら、そっちへ行けば良いわけだな!」

ディヴィッドは商人に教えてもらった通り、分かれ道の方に入り、北の町を目指して歩き始めた。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ