こっそりケーキ

□夢を嫌う
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私は知っています。

好奇心からだと言ってみせた貴女の瞳には、期待が滲み出ていた事を。
何も言わずこの手をのばしても無くなる距離。
その身を私に投げ出して、得られるものはあるのですか。
貴女には見える筈が無い。
足下すら照らす光も無ければその瞳は無いも同然。
何の疑いも無く私の前で瞼を閉じる貴女に噛み付きたい衝動が走る。
少しだけそれを満たせば驚いた様に開かれる。

有る。

月明りに助長された眼球が妖しく映る。
艶を増し肩を這う妖艶な褐色。
ほの暗い中でも浮かび上がる白い肢体。


もっと暗く。
一筋の光も入らない場所へ行きましょう。
僅かでも美しいと思わない様に。
全て錯覚だと、幻だと思えるように。




貴女は知らない。

眠らない私が夢を嫌う事を。



end.

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