Lonely Night
□Lonely Night
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「や、やっと着いた」
高く聳え立つオドロン時院。
薄暗い、というよりも唯一照らしているのは大きなまんまるい月。
ガタガタの地形や門にある大きな鎖など、此処を一言で表すなら"不気味"だった。
これならテレサが住み着いたって可笑しくはない。
「さあ、マリオ入るわよ!」
こくん、とマリオが頷くとギィと重たい音を出して大きなドアが開く。
カギは掛かっていない、そう確認すると2人は、ゆっくりと足を踏み入れていった。
…ぁ
「?、マリオなんか言った?」
ぷるぷる、横に大きく揺れる顔。
じゃあ誰が、そんな事を言いながらクリスチーヌはズカズカと先へ進んでいく。
すると、一羽のオウムが建物内を徘徊する様に飛びまわっていた事にマリオたちは気付き、逆にオウムの方も敵であるマリオたちが不法侵入している事に気が付く。
オウムは、ぎゅん、と勢い良く急降下してクリスチーヌの頭をつついてきた。
幸い、ヘルメットをしていたお陰で大きなダメージは受けなかったが少しだけ、ヘルメットにヒビが入ってしまった。
「ちょっと!何すんのよ!」
「侵入者!オマエラ!侵入者!!」
「ち、違うわよ!
私たちはウスグラ村の人たちを助ける為にバケモノを退治しに来たのよ!」
「それガ侵入者だロ!!
侵入者には、攻撃あるのみ!」
「ねぇ、マリオ!
何か、あのオウムの目…赤く光ってない!?」
「ウルサイウルサイ!」
言われてみれば、オウムの目は不自然に赤く鋭く光っていて先程とは別の生き物の様な生き物離れした素早い動きでマリオたちを攻撃してきている。
「…マリオ!こいつ、」
攻撃に当たりながらもマリオはクリスチーヌを見やって頷く。
どうやら生き物から離れているこの動きは何者かに洗脳されているようだ。
クリスチーヌは逃げ道はないか、と辺りを見渡すと、すぐ近くの壁にドアがあった。
「マリオ!こっちよ!!」
そう言うと2人はオウムに気付かれない様にコッソリとドアの向こうへと逃げていった。