アキの小説
□追憶
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『追憶.2』
『見つけた』
その子供より幾分背の高い青年だった。逆光で顔が見えない。手を振りほどこうとしたら、一層強く握られた。
『今からお前は国になるんだ、良いか?』
小さな子供は、それがどういう意味なのか分からないという風に首を傾げた。その子供より大きな彼はそれを見て微笑んだようだ。捕まれた腕の力が緩む。
『分からないか?いや、分からなくても良いんだ』
彼は小さな子供と同じ視線になるようにしゃがみ込む。その時彼の顔が見えた。
自分と、そっくりな顔。髪は銀に近い色をしていた。彼は優しく微笑んでいるが、その顔はどこか寂し気でもある。
『プロイセンは戦う為だけに作られた国だ。ドイツは違う。お前は何も知らなくて良い』
そう言って、プロイセンと名乗った彼に幼いドイツは手を引かれ、家の中を説明された。
それからドイツは、彼が家から出て行ってしまうまで(だが彼がいつ出て行ったのかは、さっぱりだ)彼に育ててもらっていた。
…ということらしい。
ドイツとしては何もかも覚えていないことだらけだ。そして「俺があんなヤツに?」だとか「俺はアイツのようなだらしない奴じゃないぞ!」だとかいうプライドがそれを「嘘」だと断言する。だが、先程から夢を追って行く内にだんだんと何かを思い出していく自分も居るのだ。
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