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□GO!GO!GOKUDERA!
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AM 09:43
やばい、遅刻する。
土曜だから携帯のアラームがオフになっているのを忘れていた。
慌ててベッドから出ると立ちくらみがした。
今日は山本と映画。
地球が爆発するのをなんとか止めようと男たちが奮闘する、スケールがでかそうで気になってた映画だ。
学校帰りに寄るとかではなく、待ち合わせをしてあいつと出掛けるのは始めてだ。
10時に映画館で待ち合わせ。
走っても15分はかかる。
映画は10時15分から。
でも入るのに時間がかかるし、飲み物も買いたいから10時には着かないと。
というか、あいつとの初めての待ち合わせに遅れたくない。
あと2分で家を出なきゃいけない計算になる。
服は前日に決めておいたので、急いで着替える。
問題はアクセだ。
こっちも決めておけばよかった。
ネックレスはコレと…いやこっちか?
でもコレは昨日つけたし…
やっぱりコレをやめてアレと合わせて…
ブレスは……
AM 9:44
やばい、あと1分!
寝癖は大丈夫だ。
雑に歯を磨いて歯茎が切れた。
靴は迷わなかった。
あ、そうだ鍵!
どこだ…
学校のカバンだ!
あった!
AM 9:46
走れ、走れ、走れ!!
信号は事故らない程度に無視した。
喉がカラカラだ。
車線の多い交差点ではさすがに信号無視はできない。
俺は足を鳴らしながら青に変わるのを待った。
車側の信号が赤になった瞬間に再び走り出す。
AM 09:52
あと8分!
ここで思わぬ、というか存在を忘れていた障害にぶつかる。
開かずの踏切…
映画館は線路の向こう側だ。
こんなところで時間をくうわけにはいかないのに…
俺は駅を抜けて反対側に行くことにした。
駅の中を猛ダッシュする俺を、周りが見ている。
でもそんなのは気にしていられない。
そしてここで、思わぬ邪魔が入る。
AM 9:56
「おぉタコヘッド!!ロードワークとは極限に感心だな!!」
芝生が俺の行く手を塞ぐ。
「うるせーそんなんじゃ…」
息が切れてうまく喋れない。
「日頃から煙草なんか吸っているからすぐに息が切れるのだ!!この機会にやめるべきだ!!こら待てタコヘッド!!!無視は許さーん!」
芝生の声を無視して走り出す。
あいつのせいでとんだ時間をくった。
AM 9:59
あと1分で着くのは無理だ。
連絡を入れようとポケットを探るが携帯がない。
何やってんだよ俺…
「あーっごくでらだー!」
背中が急に重くなる。
心底うざい、この声は…
「おい離れろアホ牛!」
「やだもんねー。ランボさんノリになっちゃったんだもんね♪ごくでらにはランボさんの棒あげないんだもんねー」
俺としたことがダイナマイトまで忘れてきた。
俺は背中から頭によじのぼってきたアホ牛の頭を掴み、どっかに投げた。
AM 10:02
やっと映画館に到着。
山本を見つけ、駆け寄る。
「わ、悪い…ぉ、遅れた…」
山本は、ぜぇぜぇいってる俺を笑いながら、「大丈夫だよ」と言った。
「俺、飲み物買ってくるから獄寺はそこ座って休んでなよ」
売店へ向かう山本の背中を見ながら、座って息を整える。
周りの女が山ちらちらと本を見ているのがわかる。
やっぱかっこいいよな、あいつ。
「獄寺、顔赤いけど大丈夫?」
「う、うるせーっ」
いつの間に!
「そんだけ元気なら大丈夫だな。入ろうぜ?」
映画はすごい迫力で、クライマックスでは泣きそうになった。
ラブシーンのときは恥ずかしくて目を伏せた。
隣の山本も赤くなっていたから安心した。
PM 0:30
「面白かったなー!!」
「ああ」
「俺、地球が爆発するときは獄寺と一緒にいたいな」
「ばか。あの映画はそれを止める話だろうが」
「あ、そっか。でも、爆発しないってわかって、これからも獄寺と一緒にいられるんだってわかる瞬間も、獄寺と一緒にいたいな」
「……ばか」
PM 11:20
普段ならまだ眠くならない時間だけど、疲れたからもう寝る。
今日はずっと山本といたから、たぶんあいつの夢をみると思う。
END
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9時半すぎって寝坊すすぎだろ…
獄寺がバカですみません。
あと兄貴と牛の喋り方が微妙ですみません。
書いてて楽しかったです!
これで本当に数字シリーズは終わります。
2008.09.02
黒川