Novel

□二人の世界
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僕は、君の"一番"には なれないのだろうか―



少しずつ、気付いてはいた。

でも…

気付きたくなかった…

怖かった…

傷付くのが…

だから、ずっと目をそらしていた…

知りたくなくて…

知らないままでいられたなら…
どれだけ幸せだっただろう…



影の世界からやって来た男、白銀。
彼の異常なまでのスキンシップ。幾度となく聞かされる…"好き"という言葉。
出逢った当初は、嫌で嫌で仕方がなかった。
それが いつの間にか…
そんな彼に惹かれてしまっている自分がいて…





ある日、その想いを彼に告げた。
当然彼は、心から受け入れてくれた。

そして その日から、俺は白銀に抱かれるようになった。
眠るときは 彼の腕の中で…

それは毎日変わらず 続いていた。



異変に気付いたのは、ごく最近。
それは、ほんの些細な事。その些細な事でも、気にせざるを得なくなってしまった。



時々、夜中に目が覚める事がある。そのとき、当然 自分は白銀の腕の中…のはずだった。
でも 決まって白銀の姿はなくて…
たまには 出掛ける事もあるのか、と見過ごしていたが、たまにどころか それはしょっちゅうだ。




気になって、毎日 夜中にこっそり起きてみた。
やはり、白銀はいない。



時刻はだいたい、2時頃。



気になる…

夜中などに
何処で…
何をしているのか…



知りたい。



でも…踏み込んではいけないような気がして…
まあ あいつもそれなりに事情があるんだろうし…


そうは思うものの、やっぱり気になる…
最近、まともに眠れない。



俺は 覚悟を決めた。

今日、真相を突き止める。

こっそり 白銀のあとをつける。
それしかない。

夜中に出て行かなければならないような事なのだから…
訊いても恐らく、嘘をつくか 誤魔化されるだろう。
それなら、自分の目で確かめるしかない。



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