Novel

□永遠に…
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白銀がいなくなってから、もう5年。
相変わらず、退屈な日常は続いている。

あの頃の日々が嘘であるかのように、毎日が"普通"だ。



綾や賢吾、洸兄は すっかり忘れているようで、変わらず過ごしている。



俺だけが…あの頃のままでいる。



あのとき言えなかった事を…伝えたい。



でも…



もう



いない。



後悔だけが残っただけ…





もし…




もう一度




会えるなら…






学校帰り、必ず訪れる海辺。
ここに来ると とても落ち着く。



地面に腰を下ろし 海を眺める昶。



聞こえるのは、波の音だけ。
辺りは 暗くなり始めていた。





不意に 風が吹いた。
強く…そして 少し暖かい風。
思わず目を伏せる昶。



風が収まると、背後から何かの気配を感じた。





振り返る昶。





その先には…





ずっと




探し求めていたものが…





黒いシルクハットを被り…黒いコートに身を包み、長い白髪を三つ編みにした男…
そんな成をした人物を、昶は 一人しか知らなかった。



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