天才晶術師の章

□fateー3
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「…わかった?」
「まぁ、だいたいは…というか、簡単じゃなかったぞ」
「複雑過ぎるから無理…はぁ〜」

 話をする為にと立ち寄った飯屋のテーブルで、ルナはうなだれていた。

「……どーしよ…ディムロスだけでもと思ったんだけど…はぁ〜」
「……」

 そんな彼女を横目で見ながらリオンは紅茶を口に運ぶ。

「…まあ、諦めるんだな」
「酷い…誰かさんがやっつけちゃうから…」
「僕は与えられた任務を遂行したまでだ」
「ゔ〜〜」
「…まったく」



「はあぁ…ヒューゴ様からの任務、初失敗…これは怒られる…かな…降格…?いや…追放…?はぁ…」
「…!」

 "ヒューゴ"の言葉にリオンはピクリと反応した。

「お前…」
「お前じゃなくてルナ、ルナ・ベルセス!」
「ヒューゴ様からの任務だったのか?」
「…(スルーされた)そうよ、いにしえの封印されし剣『ソーディアン・ディムロス』を本国に輸送する任務…ヒューゴ様から、ね…わたし、聞こえるみたいだから…ソーディアンの声…あのハロルド・ベルセリオスの子孫らしいし…」

『えぇぇっ!?』
「「!!」」

 リオンよりもシャルティエが先に反応し、二人はコアクリスタルに目を向けた。

「…そんなにびっくりしなくても」
『だっ、だって!』
「!シャルの声を…お前、本当に」
「えぇ、聞こえてるわよ」
『だって……似てないっ!』
「っ!!」

 シャルティエの言葉にルナは椅子からひっくりコケた。

「あ、あのねぇ…そこ問題?」
『え…だって…』
「ちょっと待て、ファミリーネームが違う…」
「ああ…ベルセスは偽名…ベルセリオスをちょこっといじって、ね」

 ルナは天井を仰いだ。

「ベルセリオスの名は、わたしには大きすぎる…」
「…ルナ……」
「あ、名前覚えてくれたんだ」
「…さっき聞いたからな」
「スルーしたくせに…ま、いっか」

 ニコリとルナは笑った、久しぶりのその笑顔にカイトは小さく笑っていた。


(久しぶりだな、お前が名を呼ばれて笑うのは…リオン・マグナス……さて……役者はそろったか)





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