天才晶術師の章

□fateー3
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 日が昇り、朝日の中…ルナは一人、剣を振っていた。


「っやぁ!…はぁ…はぁ…」

「どうしたルナ…こんな朝早くから素振りなど…」

 カイトが近寄り、そう声をかける。

「…別に…なんか目が覚めちゃったから…」
「そうか…」
「ねぇカイト…」
「なんだ?」

 ルナは剣をおさめると、空を見上げた。


「ヒューゴ様の事…どう思う?」
「…どうした、急に」
「ん、ちょっとさ…気になって…どうしてソーディアンを集めようとしてるのかなって…」
「…さあな、考古学者ではなかったのか?」
「そうなんだけど…研究…ってわけじゃない気がして、なんでかなって」
「……」


 彼女は近くの木へと寄りかかると、目を閉じた。





「…叔父様も…ヒューゴ様も…わたしではなく、わたしの中の"ベルセリオス"が必要なだけ…」
「ルナ…」
「……」

 カイトはぽんっとルナの肩に飛び乗ると、頬をすり寄せた。

「っ!く、くすぐったいよっもう…!」
「我にはお前が必要だ…ルナ」
「!…ありがと、相棒…」



 不意に気配を感じたルナ…寄りかかっていた木の陰からそっと村の入り口に目を向けた。


「!セインガルド兵?なんでまた…」
「お前を捜索に来たのではないのか?」

 カイトの言葉に彼女は眉をひそめる。

「たかが一人の為に衛兵なんか出さないわ…それが軍…」
「……」
「宿を包囲してる…"手配中の盗賊"でもいるのかしら?」



 


 しばらくすると、ドタバタと音が聞こえ…スタン達三人が宿の外へと飛び出して来た。

「あ…スタン…」



「大人しくしろ!ルーティ・カトレット!!」


 兵士の言葉で何が起こっているのか悟ったルナは、木にもたれてうなだれる。


「…まさかとは思ってたけど…ルーティ…はぁ」
「気がついていたのか?」
「…昨日ウォルトに会いに行くって言っていたからもしかしてって、だからついて行かなかったんだけど」
「そういうことか」


 対峙する兵士とスタン達を眺め…ルナは考えていた。


(ここで出て行ってもややこしくなりそうだし…どうするか…)







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