天才晶術師の章
□fateー1
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一方、船内へ逃げ込んだスタンは武器を探し、走り回っていた。
「くそっ!何処かに武器はないのかっ!?」
今いる場所さえわからないくらいめちゃくちゃに走り回り、見覚えのある扉にたどり着く。
「…ここは、確かオレが乗り込んだ…」
「グァァッ!!」
「!!」
そこへモンスターが現れ、スタンは後ずさった。
「…っ!!」
なんとか向かってきたモンスターの一撃を交わし、扉へ飛び込んだ。両手で扉を押さえ、モンスターの侵入を必死に防ぐ。
「じっちゃん…リリス!…いやだ、こんなところで死にたくない!」
『そこのお前』
「…え!?」
『ほう、我の声が聞こえるようだな、素質はあるということか』
「だ、だれだ!?」
突如響いた声の主を探し、スタンは辺りを見回した。
『知りたいか?ならば奥まで来るがいい』
「奥…?」
暗闇に目を懲らす…と、一瞬赤く光る物が見えた。
「何か光った…あそこか?」
光った場所へと慎重にスタンは歩を進めた。
「…だれもいない」
突き当たりまで進んだスタン、しかし人影はない。と、鎖によって頑丈に封印された剣が彼の目に写った。
「…これは…剣?変わった形をしてるけど、使えるのか?」
剣をよく見ようとスタンは近寄ったその時、モンスターが扉を破り中へ入ってきた。
「ええい!気にしてる場合じゃないっ!」
鎖を引きちぎりスタンはその剣を構えた。
「武器さえあればお前らなんかに負けるかっ!」
一気に間合いを詰め、モンスターを切り付けた、モンスターは断末魔の叫びをあげ、レンズを散らして消えうせた。
「…なんだ、この剣…妙に手に馴染む…」
しかしその疑問も、爆発音により、掻き消された。
「飛行竜…大丈夫なのか!?」
「スタンっ!」
「!あ、君は…ルナ…」
「あなた、その剣…」
「え?ああ、さっき奥で見付けて…モンスターが向かってきたからとっさに」
「…そう(もしかして、マスターの素質があるの?彼に…)まあいいわ、スタン!脱出するわ、来て!!」
言ってルナは走り出した。
「えっ!?脱出!?」
「他のみんなはすでに脱出した!後はあなたよ!」
「わ、わかった!」
ルナは甲板を目指し、走った、モンスターが何度も向かってきたが剣のひとふりで制し、どんどん進んで行く。
「スタン!早くあの脱出ポットへ!」
甲板に出たルナはスタンを誘導し走る、いつの間にかカイトが肩に乗り、援護をしていた。
「早く君も!」
スタンは体半分を脱出ポットにいれ叫んだ、しかしルナは動かない。
「…最後の一つ、それは一人用…わたしは……っ!?ちょっ!?」
「君を置いてなんかいけないっ!!」
スタンはルナを抱え上げるとモンスターを睨んだ、一瞬彼らの動きが鈍る。
「おりゃあぁぁぁぁっ!!」
脱出ポット目指しスタンは走った、モンスターの攻撃をかわしそのまま突っ込んだ。
「っ!!」
「うわっ!」
入口を閉めた直後、大きな衝撃が二人を襲う…落下している、ルナは直感で悟った。
(…ここまでか)
胸元にカイトを抱き抱え目を閉じた、ルナの意識は、ここで途切れた…。
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