天才晶術師の章

□fateー2
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「――……」


 ゆっくりと開いた瞳に写ったのは、木でできた天井…、瞳だけを動かし、しばらく眺め、静かに体を起こした。

「…助かった、の?」
「そうみたいだな」

 すぐ隣から聞こえた声にルナは目を向けた。

「カイト…よかった」

 ルナは部屋を見回した。

「あの男も無事だ、銀髪の男と外に出ていった、ソーディアンも一緒だ」
「そっか…」
「すぐに戻ってくるだろう」
「……」


『君を置いてなんかいけないっ!!』


 ルナの耳にスタンの言葉が過ぎる。


(…初めてだったな、あんな風に助けてくれた人…)
「ルナ…?」
「えっ!何?」
「どうした?ぼーっとするなんて、らしくない」
「ん、大丈夫」

 軽く体を動かし、ベットから下りた、ふと窓が視界に入る。

「…雪!…もしかしてここはファンダリア?」

 窓に近寄り外を眺めた。



「…早くダリルシェイドに戻らないと…」
「この土地は嫌いか?」
「嫌いじゃないけど…あんまりいい想い出無い…ハロルド博士の杖を見つけた時以来だし」






「気が付いたようだね」
「!」

 後ろからかかった声にルナは振り返った、そこにはスタンとカイトの言っていた銀髪の青年が立っていた。

「あ…!」
「わたしはウッドロウ、気分はどうかね?」
「はい、大丈夫です…あの」
「ここはファンダリアの山奥、わたしの師、アルバ先生の山小屋だよ」
「ウッドロウさんが俺達をここに運んでくれたみたいなんだ」
「そうだったんですか…あの、ありがとうございます」

 ルナは深く頭を下げた。

「そんなにかしこまらなくていい、わたしの事は気軽にウッドロウと呼んでくれて構わない」
「え…あ、はい…」
「にゃ〜」

 カイトがルナの足に擦り寄り、彼女は抱き上げた。

「食事の用意、出来ました〜」

 ピンクの髪の少女がやってきてそう告げた、ウッドロウは少女を振り返り、ルナに視線を戻した。

「彼女はチェルシー、アルバ先生のお孫さんだ、さて、では冷めないうちに料理をいただこう」

 ウッドロウに促され、ルナ達はリビングへと向かった。






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