天才晶術師の章
□fateー3
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リオンがあっさりと三人を倒してしまった事に、ルナはただア然としていた。
「…強い…凄く…」
ギュッと拳を握り絞め胸元へと持っていく。
――ギィンッ!!
「!……」
「…ほう、少しはやるようだな…」
いつ、抜いたのか。
いつ、こっちに来たのか。
ルナにはわからなかったが自分の剣で反射的にシャルティエを受け止めていた。
「…まあ、このぐらいは…あんまり剣に自信はないけれど」
「ならば、抵抗しないことだな」
「…(盗賊の仲間だと思われてるのか…ま、初対面だし)話を聞く気は?」
「…盗賊の言い訳になど耳を貸す気はない」
「……そう…」
ルナはシャルティエを弾き、間合いを取る、剣を鞘におさめ腰の杖へと手をかけ、意識を集中する。
「氷結よ、舞えっ!!-ブリザード!!」
「何っ!?」
『晶術!?』
「ちっ!」
とっさにリオンは横に飛び、間一髪でかわした。
「砕け!-ストーンブラスト!!」
「当たらないっと!」
ルナはひらりと身を翻し、近くの木の枝に飛び乗った。
「ちっ…」
『まさかあの子もソーディアンマスター!?』
「……」
ルナは自分を見上げるリオンを見据えながら、術の詠唱を行う。
「聖なる力、裁きの矢!!-ホーリーランス!!」
「!――ならばっ!デモンズランス!!」
光と闇の力は引き合うようにして小さく爆発し、消えた。
「あー…対抗属性だから、相殺したか…」
「…おい貴様、下りてこい」
「えっ?」
その一言に彼女は戸惑った、リオンが剣を鞘におさめたのを不意打ちされるかも、と考えたが、素直に木から下りた。
杖を手に、ゆっくりとリオンに近寄る。
「用心深いな…まあいい、お前があの噂の客員剣士か」
「…噂?」
「飛行竜の事件の唯一の行方不明者がなんで盗賊共といたんだ?」
「……」
警戒を解いたルナは杖をしまい、深いため息をはいた。
「成り行きでちょっと…あのスタンって人がディムロスのマスターになっちゃったからね…」
「何故奴がマスターに?」
「…長くなるけど、聞く?」
「簡単に話せ」
「むっ!…わかったわよ」
ルナは何があったか説明を始めた。
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