天才晶術師の章

□fateー4
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「ただい…ま」


 ゆっくり扉を開け、家の中に入るルナ。


「……いるわけない、か」


 そのまま自室に向かい、ベッドに倒れ込む。


「……はぁ」
「奴と一緒に行けばよかったんじゃないのか?」
「…別に一緒じゃなくていいじゃん…彼、街の人から人気みたいだし、恋人ーだのなんのって変な噂がたったらお互い迷惑だし」
「そうか…」

 カイトもベッドに飛び乗ると、彼女に擦り寄った。

「!っくすぐったい…」

 そういいながらも、嬉しそうにカイトの頭を撫でた。













 しばらくの間家で過ごしたルナは城へと向かった、謁見の間に入り、これまでの経緯を話した。



「…そうか、しかしそちが無事戻ってきてくれたのならばよい」
「もったいないお言葉です…」
「して、ソーディアンマスターの件だが…」
「…彼がマスターに相応しいのであればよいのではありませんか?正直、わたしにはあの大きさは扱えそうにありませんので」
「そうか…まあよい、ソーディアンの声が聞けるとわかっただけでよしとしよう、下がってよい」
「はい、失礼します」

 彼女は深く頭を下げ、謁見の間から出た。






 中庭辺りで見覚えがある姿を見つけたルナは駆け寄った。


「ヒューゴ様…」
「ルナか、無事だったようだな」
「はい…ご心配をおかけしました」
「…それで?声は聞こえたのかね?」
「はい…」
「そうか…」

 ヒューゴはしばらく何か考えている様子をみせ、ルナに向き直る。


「実はついさっき、ストレイライズ神殿より『神の眼』が奪われたとの報告が入った」
「!?『神の眼』!!…天地戦争の…元凶が…!?」
「そうだ、今リオンとハーメンツで捕らえた盗賊達が奪還に向かっている」
「リオン達が…」
「無事取り返せればよいが…もし取り返せなかった時はお前が奪還の任につきなさい」
「!!わたし…が?」
「…少なからず、因縁があるであろう?ルナ・ベルセリオス」
「!!…わかりました」
「陛下にはわたしから報告しておく、奪還任務が必要な時は兵士に呼びに行かせる、それまで待機していなさい」
「はい…では、失礼いたします」


 去っていくルナの後ろ姿を、どこか怪しげな瞳でヒューゴはみつめていた。






「…わが野望の駒となるか…それともあやつの…くくっ、まあ、どちらでもよいが…」







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