天才晶術師の章
□fateー5
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「あっつ〜〜何よここ、本当に…」
「うっとうしいわね」
「気持ちいいなぁ!」
スタンのその一言に、ルーティは呆れたと言わんばかりの顔を向けた。
「もしもしスタン?あんた本気で言ってる?」
「ああ!日差しが強くて最高だよな!く〜〜っなんだか元気がわいてきた!」
「…この男…本気だわ…」
「け、健康ですね…」
そんなやり取りを横で聞きながら、ルナはガサガサと袋から布を引っ張り出す。
「ルーティ」
「ん?」
「はい、これ」
ルナはフード付きの上着を彼女へ手渡した。
「何よこれ」
「着るの」
「はぁっ!?じょーだん!暑いじゃないっ!」
「だから着るの、あなたみたいに肌を出していたら、熱で火傷して大変な事になる、加えて夜はかなり冷え込むしね」
「そ、そうなの…?わ、わかったわよ…火傷は勘弁…」
ルーティは渋々ながらも上着を羽織る。
「みんな着たみたいね、それでこれからどうするの?隊長」
「隊長はやめろ…バルック基金のオフィスへ向かう、オベロン社のカルバレイス方面支部だ」
「そこで情報を集めるんだな」
リオンは近くにいた住民に声をかけた、しかし住民は無言で去っていってしまった。
スタンも同じく声をかけるも同じ反応…。
「ありゃ、どうしたんだろ、街の人の反応が冷たい気がする…」
「…この地方は他所からきた人には警戒心が強いんだよ」
そうルナが答え、先に歩き出した。
「自力で探すしかないようだな」
リオンも後を追い、スタン達もそれに続いた。
なんとかバルック基金のオフィスへ辿り着いた一行、リオンを先頭に中へと入って行く。
「久しぶりだ、バルック」
「リオン、よく来てくれた、街の人間にこの場所を聞いたのか?」
「いや、自力で辿り着いた」
「話しかけても無視されてしまった…当然と言えば当然だけど…」
ルナの言葉にスタンやルーティは首を傾げた。
「…知らないの?カルバレイズに住む人達の先祖は伝説の『天地戦争』の敗者…だから自分達をここに押し込めた勝者達を嫌っているのよ」
『……』
「どれだけ前の戦争か知らないけど、いつまでもそんな事気にされてもね」
「それは勝者の考え…敗者の考えは、また違う…」
「それはそうと、本題に移ろうか…ヒューゴ様から連絡も受け取っている、なんでも『神の眼』…とやらを探しているようだな」
「そうなんです、心当たりはありませんか?」
「わたしも人を使って調べてみたのだが…今のところ手がかりはない、カルバレイスに寄港した船を徹底的にあらわせてはいるのだが…」
「…」
「何か情報が入ったら知らせよう、それまでこの街に滞在するといい」
「わかりました、よろしくお願いします!」
*