天才晶術師の章

□fateー5
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「任せてくれたまえ…それにしても驚きだな」

 バルックはリオン、そしてルナを交互に眺め、スタンに視線を戻す。

「何がですか?」
「リオンが同年代の誰かと仲良くしているところを見るのが、だよ」
「仲間同士ですからね、そりゃ仲良くもなりますよ」
「!…(仲間、か)」
「な、リオン?」
「…人聞きの悪い事を言うなバルック、僕はこいつらと仲良くなどしていない」
「そんな言い方ないだろ、これまで一緒にやってきたじゃないか」
「命令されて仕方なく、だ、本来なら僕一人でも十分だった」
("僕一人でも"か…まあ、確かにね…)
「リオン…」

「仲間だの、仲良しだの、虫唾が走る…いいか?もう一度いっておくぞ、僕はお前のように、図々しくて能天気で馴れ馴れしい奴が大嫌いだ」

 そう言い放つと彼は外へと出て行ってしまった。

「……」

 少しばかり寂しそうに、スタンはそれを見送った。



「気を悪くしないでくれ、とっつきにくく見えるのは昔からでね」
「大丈夫です、きっといつか上手くいくようになりますよ」
「仲間…ね」
「…君はルナちゃん、だったかね?」
「!そう…ですけど」
「そうか、君が…リオンと一緒に任務を?」
「たまたまです」

 そう答えると彼女も外に向かう。

「何処行くんだ?」
「情報収集」
「あ、なら俺も…」

 一歩踏み出したスタンの鼻先に、ルナは抜いた剣の軌っ先を突きつけた。

「!!」
「…勘違いしないで…わたしも『仲間』になった覚えはない」

 きっぱりと言い放ち、剣をしまうと外へと出て行く。



「……ルナ」
「噂には聞いていたが…あの子もリオンと同じタイプのようだな…」
「……」



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