天才晶術師の章

□fate-6
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『父さん、今日もお仕事…?』
『あぁ、いい子にしているんだよ』



これは……あれは、小さい時のわたし…?



『母さん!母さんも…行っちゃうの?』
『しかたがないのよ…父さんは母さんの力が必要だって…』
『ベルセリオスの血を引いているから?でもっ!』
『…何をしているマリア、行くぞ?』
『あ、ごめんなさいね…ルナとお話していたの…すぐに行くわ』
『母さん…寂しいよ…』
『……これ、あなたにあげるわ、これを持ってお留守番していてね』
『母さんの…イヤリング?』
『いつかあなたにあげようとおもっていたの、ハロルド博士の物よ?』





博士のイヤリング…あの日に貰ったんだっけ…









『父さん…母さんっ!!』
『危ない!!近寄ってはダメだっ!!』
『でも…でもっ!!母さんっ!!っやぁ!放して!!』
『ダメだルナちゃん!!君まで巻き込んだら…マリアさんに……』
『……っ!』




燃えている…研究所が……母さん…!!なんで……今…思い出すの…!?








『君がルナちゃんだね』
『…はい』
『そうか…はじめまして、だね…君のお父さんの兄、君にとっては叔父になるクロード・ヴァンレイだ』
『叔父様…』
『今日から君の家はここだ、好きに使うといい…わたしはオベロン社本部に勤めているから滅多に帰れないが…一人で大丈夫だね?』
『……はい』
『いい子だ…』





"いい子"…父さんと同じ……何も知らないのに…一人でなんか…まだ何もできないのに………












『……』
『…あら?どうしたの?』
『!……』



あの人は……



『……』
『!お腹、空いてるの?』
『……ぅん』
『一人?』
『うん』
『お家は?』
『すぐそこ……食べる物あるけど、一人じゃ出来ない…』
『…そっか…じゃあこれ…あげるわ…』
『でも…』
『いいの、あなた名前は?』
『ルナ…』
『わたしはマリアン、マリアン・フェスティルよ』
『マリアン…(母さんと名前が近い…)』
『今度教えてあげるわ、お料理とか…ねっ?だから、笑って?』
『……うん』
『ふふ、笑った方が可愛いわ…またね、ルナ』















「………」


 ルナは体を起こし、回りを見た。



「起きたか、ルナ…うなされていたが大丈夫か?」
「カイト…うん、平気…忘れてたこといろいろ思い出しただけ」
「…そうか」
「そろそろいい時間だね」
「ああ」





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