天才晶術師の章

□fate-7
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 スタン達が出ていって数十分…ルナとリオンの間に会話はなく、沈黙の時が過ぎる…。



「…イレーヌさん、帰ってこないね」
「……」


 ぽつり、とルナが口を開く。








「スタン達も…帰ってこないね…」
「……」



 壁に寄り掛かっていたリオンが不意に出入り口へと歩いていく。

「…リオン?」
「じっとしてるのもつまらん、少し付き合え」
「へ…?」

 そのままリオンは屋敷の外へと出ていき、ルナは慌てて追いかけた。




 庭に出るなり、リオンはシャルティエを抜いた。


「……」


「…何をしている、さっさと抜け」
「!…ああ、そゆことね」

 彼の意図を理解し、ルナも腰の剣を抜いた。




「手加減無欲だ、全力でこい」
「!…臨むところっ」

 にっ、とルナは口元を吊り上げ、剣を構えて地を蹴った。

 剣と剣のぶつかり合う音が庭に響き渡る。



「やっ!たぁっ!!」
「…はッ!(…初めてこいつに会った時よりも…手応えがあるな)」
「やあぁっ!!華連撃ッ!」
「っ!」

 ルナの一撃に、わずかに顔を歪め、リオンは後ろへと下がった。


「…フッ…久しぶりだな、シャル」
『ええ…かなり手応えありますね』
「ああ…だが」

「っ!?」
「空襲剣!!臥竜閃っ!」
「っきゃ!…く…」

 今度はルナが後ろへと下がり、リオンを見据えた。


(やっぱ…強い…でも…)



"剣士として認められたんだから、自信もちなさい"


(マリアン…わたしは…)



「はぁぁっ!!爪竜連牙斬!!」
「!ならばっ崩竜斬光剣っ!!」















「っはぁ…はぁ…あ〜〜…」
「…はぁ、はぁ…」
「…もう…容赦ナシ…なんだから…」
「っはぁ…当たり前だ」
『…でも坊ちゃんが息上がってるなんて、珍しいですね』
「!そうなんだ…」
「…余計な事を言うな、シャル」
『で、でも…わぁっ!すみませんっっ、コアクリスタルに爪を立てないで下さいっっ!!』
「って、痛くはないでしょうがシャル」
『うぅ〜!』
「まったく…」

 二人は庭に足を投げ出し、空を見上げた。


「…なんか喉渇いた」
「……そうだな」
「冷たいもの、飲みたい…アイスキャンディーまだかな…」
「……」
『結局、イレーヌもスタン達も帰ってこないですね』
「迎えに行ってみる?」
「!…だがイレーヌが…もし入れ違いにでもなったら…」
「んー…メイドさんにイレーヌさん帰ってきたら待っててもらえるように頼めないかなぁ…」
「…そうだな」
「まあ、どっちか残るって方法もあるけど」
「……いや、一緒に行く」
「!…じゃあ、わたしメイドさんに話して来るね」

 ルナは立ち上がり屋敷の中へ…リオンは座ったまま、その後ろ姿を眺めていた。






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