銀魂小説 弐
□もちつもたれつ?!一蓮托生!!
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「おいコラ銀時、通り過ぎるな、貴様も手伝え」
「あー?」
隠れ家の縁側を歩いていると、庭先から声がした。
「何を?」
花を終えた葉桜が、柔らかそうな新芽を今まさに伸ばしつつある下で、桂が洗濯をしていた。
「見ればわかるだろう」
「え?何?水遊び??」
「殺すぞ」
部隊もだいぶ人数を数えるようになった。当然、洗濯物も増える。
「俺、洗濯物の当番じゃねェよ?」
「貴様、友一人救えずしてどうして国が救える。さっさと手伝え」
「アレ?お前、友達なんていたの?」
「斬るぞ」
「……あとどんだけあんだよ」
無言で自分の背丈をよりも高い山を示す桂に、銀時は諦めて庭に降りた。
「お、いいところに!!」
「あン?」
着流し姿で縁を歩いていた高杉は、聞きなれた声に振り返った。
葉桜の下で、大きな桶を囲んで桂と銀時がしゃがみこんで洗濯板と悪戦苦闘していた。
「仲良く洗濯かァ、ご苦労さん、じゃな」
「あ、待て!!」
「逃がすかァァァ!!!」
そのままスタスタと去ろうとする高杉に、銀時がタワシを投げつける。
「っ?!」
「お前も手伝っていけェェェェ!!!!」
タワシをかわし、一瞬の隙を見せた高杉を、銀時が背後から羽交い絞めにした。
「はァ?!何で俺が?!」
羽交い絞めにされた高杉が、背中に張り付いている銀時を振り払おうと暴れていると、ぽん、と前から肩を叩かれた。
「あぁ?!」
目をあげると、桂が満面の笑みで仁王立ちしていた。
昼に向かい高く上がった太陽の逆光で、顔が影に染まって、不気味な迫力をかもしだしている。
「手伝ってくれるよな、晋助?」
ぞぞ、と背後を滑り落ちる冷や汗に、背後からまた悪寒を導く声がした。
「友達だもんな、俺たち」
「ちょ、な、…」
「幼馴染だもんな、俺たち」
「晋助、やさしいもんな」
前から後ろから、うぞうぞとささやかれて、高杉は春の天に叫んだ。
「優しくなんてねェ―――――――――!!!!!」
「おー?三人で何やっちゅう?」
縁を歩いていた坂本は、庭先で三人が桶を囲んで円になっているのを見て、声をかけた。
くるりと、三人が振り返った。
きらり、と六つの目が輝いた気がしたが、気のせいだと思おう。
高杉が、怖いくらいにっこりと微笑んで、口を開いた。
「辰馬ってさァ、背ェ高くて、いいよな」
「ほ?」
銀時が続く。こちらも、満面の笑みである。
「辰馬ってさァ、ぜってー将来サラッサラヘアーになるよな」
「な、何じゃ?」
締めるように、桂が華のように笑んだ。
「辰馬、貴様のその性格はいいな。俺も、大いに見習うべき点がある」
「「「いや、それはやめとけ」」」
静かな突っ込みがあったが、三人の視線が坂本に集まった。
坂本は、静かに口の端に笑みをのせて、言った。
「おんしらの言いたいことはわかっちゅう…」
坂本の言葉に、三人は笑って、坂本の次の言葉を待った。
「よう、わかっちゅう……」
「では、辰馬……!」
桂が、顔を輝かせながら言いかけると、坂本はそれをさえぎって豪快に笑った。
「トンズラじゃァァァァァァァ!!!!!」
「な?!」
「逃がさねェェェェェ!!!!!」
「食らえェェェェェ!!!!!!」
「アッハッハッハッハッハッハッハ――――――!!!!!」
「おい銀時、もっと丁寧に洗え。汚れが落ちておらんぞ」
「んなモンまたすぐ汚れんだろー」
「ヅラは女々しくていけねェよ」
「女々しくない、桂だ」
「女々しい、は名詞じゃねェよ。」
「ほーいう高杉も、結構細かいところ気にしちょるがや」
「うっせーよ、テメーの頭で汚れ落とししてやろーか」
「わしの頭はタワシじゃないきに」
「そうだぞ高杉、アレは毛玉だ」
「じゃァ金時の頭も毛玉じゃ」
「銀時だっつってんだろが。大体俺のは天パ、オメーのは毛玉だよ」
「あっ!水飛ばすんじゃねェよ若白髪!!」
「なんか目がしみるのぅ…ワシの心が泣いちょるがじゃ」
「バカ、洗剤だ」
「それにしても、まだ終わんねーのか?」
「貴様らがさっき洗った分まで辰馬に投げつけたからだ」
「おかげでわしゃずぶぬれじゃ」
「頭ン中まで洗えねェのが残念だな」
「俺はテメーの口の悪さを洗い流してェよ」
「俺はテメーの死んだ魚の目ェ洗い流してシャキッとさせてェな」
「俺は貴様らのその洗っているんだか捏ねているだけなんだかよくわからん手を川に流したい」
「お、ホラーじゃ」
「腹へったな」
「メシが食いたいのなら手を動かせ」
「だいたい、テメーなんで独りだったんだ?三人だか四人だかで一組だろ?」
「てか、俺たち一応幹部だから洗濯当番あったか?」
「風呂とメシだけじゃなかったがか?」
「負傷と体調不良でな」
「…ちっ」
「お人良し」
「それがヅラじゃー」
「ヅラじゃない、桂だ」
ようやく干し終えられた洗濯物に、多少の手形がついているのは、ご愛嬌。
fin.....
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銀さん、高杉ときたので今度はヅラで。というか、坂本がまだムリだったので。
坂本、難しい…
銀さんはヅラ独りでその山は可哀相かな、と仕方なしに手伝ってやる、高杉は二人いるしめんどいし、逃げようって感じで逃げるけどつかまっちゃえば諦めて手伝う。坂本はもう三人いるからいーかな、と逃げるけど結局捕まれば実は一番マジメにやるとか。
そんな感じです(説明しなきゃならんもの書くな)。
幹部(とは思えないフシもあるけど)四人が、集まって頭つき合わせてちょこんと座って洗濯。
あー、誰か絵に描いてください(えー
自分に画力がないのがくやしい…
絵じゃないと表せない微妙なツボって、ありますもんね…
お読みくださりありがとうございました。