まんが日本昔ばなし

□縁持ち狸
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あるところに村人から慕われている庄屋さんが居た。

この庄屋さん、近くの山に住む狸とその一家と仲良しで、庄屋さんは飯を分け与えていた。
この庄屋さんには一人娘が居て、そのうち働き者の男に嫁ぐ予定があった。

ある日、その国の家老様が庄屋の家にやってきた。
その家老は自分の嫁を選ぶためにその辺を周っているらしい。
(家老といっても若いのですよ)

狸は庄屋さんに
「娘にお茶を出させるなよ」
と注意するが、庄屋さんはその注意を聞かずに娘にお茶を出させた。

家老はお茶を持ってきた娘に一目ぼれし、毎日のように文を渡した。

庄屋さんは
「決まった相手が居るので」
と断り続けたが、そのうちに
「お家を潰すぞ」
という脅迫が届くようになった。

困り果てた庄屋さん、狸に相談をしにいった。
狸は
「ほれみろ、わしの言うことを聞かんからじゃ」
と文句を言ったが、引き受けてくれた。

狸は庄屋さんのかみさんに化けると、家老の屋敷に乗り込んだ。

家老は色よい返事が来たと喜んだが、狸は
「家の恥を言いに来ました。あの子は狸の血を引いているんです」
というと、家老は
「私と結婚させたくないからといい加減なことを!」
と怒り出すが、狸は
「実は私が狸なんです」
と自分の尻尾を見せ、狸の手足を見せた。

家老は驚き、腰を抜かした。
狸はとどめに
「もしこの事を他の者にいったら、これですよ」
と恐ろしい幽霊に化けて家老を脅した。

それ以降、家老は庄屋さんの家に近づくことはなくなり、娘は次の年に無事結婚したそうな。


以上、山口県のお話

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