まんが日本昔ばなし

□青と赤の天狗さん
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昔々、とーっても高い高い山のてっぺんに二人の天狗が住んでおった。

一人は赤い天狗で、もう一人は青い天狗。
この二人はたいそう仲がよく、毎日一緒に遊んだりして暮らしておった。

そんなある日、二人で何気なく山のてっぺんから城下町を見ていると赤天狗が言った。
「人間は進化するのぉ。喧嘩しては城を作って、また喧嘩しては更に大きい城を作っている」

青い天狗も
「そうじゃな」
と答えた。

すると赤天狗は
「そうじゃ、うちらも喧嘩をしなければなんね。喧嘩をしないから駄目なんじゃ」
と言い出した。

青天狗は
「別に喧嘩する必要もあるまい。何も無いのに喧嘩しても…」
と渋ったが、赤天狗は聞く耳を貸さず
「もう今からお前とは口を利かぬ」
といって山の反対側へと去ってしまった。

青天狗はしょうがないので、その場に座った。

が、二人ともいつも一緒にいるので一人でいるとだんだんと退屈になってきた。

青天狗が何気なしに遠くの城を見ると、何かがキラキラと輝いておった。
青天狗は興味をそそられ、鼻をそこまで伸ばした。

その城では、お姫様のキラキラと豪華な着物を干しておってな、それがキラキラと光っておったんじゃ。
ちょうどそこでは干し竿が足らなくなったから、そこまで伸びてきた青天狗の鼻に侍女が大量に着物を干したんだと。

鼻先が重くなった青天狗は、姫様の着物をぶら下げたまま鼻を縮めると、なんとも綺麗な着物に大喜びした。
そんでな、着物を着ながら山の反対側の赤天狗の所に行って
「キラキラ光っている所に鼻を伸ばしたらこんな綺麗な着物がついてきた。おめぇにもやろう」
と言って来た。

赤天狗はその着物が欲しくて羨ましいと思ったんだがな、喧嘩している途中だから
「要らぬ。今は喧嘩中なんだから声を掛けるな」
と突っぱねた。

青天狗はしょうがなく元に戻っていった。

赤天狗は着物が羨ましくてしょうがない。
すると、青天狗とは別の城で何かがキラキラと輝いている。

赤天狗はしめた、と思い、早速鼻を伸ばした。

だが、そこで輝いていた物は手に手に刀や槍や弓を持って訓練をしている武士たちの武器であったんじゃ。

そんなところに赤くて長い鼻が突っ込んでいったので、驚いた武士たちは一斉に攻撃をしかけた。

赤天狗は慌てて鼻を引っ込めたが、大怪我を負ってしまった。

そして青天狗は、赤天狗が妙に静かになったのに疑問を持ち、赤天狗の所へ行くと、鼻に怪我をした赤天狗がしょんぼりとうずくまっていた。

訳を聞いた青天狗は
「もう喧嘩なんてやめよう。最初から着物を半分半分にしていたらこんな事にはならなかっただろう」
と言い、二人は仲直りしたそうな

以上、山形県の昔話

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