お話
□初めての君
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黒猫がニャア ニャアと 煩い 夢を見た。
「・・・うるせ」
白い王が ボソリ と呟く。
低く、小さく、誰にも聞こえないくらいに。
吐き捨てる。
生まれてからの 永い時間。
その流れの中、ヒトの形をとったところで、自分の中に大した変化はなかったと思う。
自分の声も、ふと忘れてしまうくらいに。ただ淡々と、 自分の役目を果たす。
それで良い。きっと、その方が楽だ。
命は、自分から見て驚く程短い時で砂に還る。
自分が模したヒトもまたその内に在る。なんと弱い存在か。
それに気づいた時には 自分は此の身体に馴染んでいて、今更やめる気になれなかった。
それだけ。
それだけだ。
だから、そんな変わり映えのない代わり、心静かに居られる無音の刻に、
其れが 響いた
「はじめまして!!」
その時の
白い王の顔といったら・・・!