お話

□その、何気ない言葉に…
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「洸ーー!!」

そんな絶叫と共に、自宅のドアが荒々しく開く。
まるで、人の家のドアの粉砕が目的だと云わんばかりの体当たり的訪問だ。だが、洸は口の端をひくつかせながらも珍しい客に、当たり障りのない笑顔で

「外観がアレな分、内装には気ぃ使ってんだ。その辺りわきまえられないなら。
今すぐ帰れ、白銀」

と、首切りジェスチャーをしながら 挨拶の言葉を贈る。

「ああ、失礼。ついつい自分を見失ってしまいました」

「あと、そのキモイ口調も直せ。できないなら今すぐ帰れ」

そう断りながら、ウェルカムドリンクを差し出す。

「これは・・・オトギリソウ、オダマキ、セキチクか」

「枯れてきたから。帰り道にでも花と水、棄てといてくれ。あと、その花瓶はやる。」

「因みに、花言葉は敵意、たわけ者、あなたが嫌いです・・・か」

「ああ」 頷く洸。

「洸、実は先刻。昶がな・・・?」

「ああ、全無視で進めるのな・・・」

そして 二人の男が一つのテーブルに着く。










白銀は話す。
昶はこう言った と。
屋上での昼食時のこと。
『お前の愛情って、調味料っつーより添加物だよな』・・・と



「白銀・・・それは・・・」

どうコメントして良いのか解らない洸。

「俺は問うた。『昶君、それってどういう意味なんでしょうか?』・・・と」

そこで一度休む白銀。

「うん・・・で?」

促すと、白銀は心持ち億劫そうに

「『いや、何となくだ。気にすんな』・・・と」

「・・・・・・」 どうやら昶の物真似らしいと洸は悟る。

「・・・・・・・・・」

何というか・・・解るような、解らないような・・・洸は賢明にも 口には出さずに心内だけで呟く。
白銀が口を開いた。

「添加物といえば。栄養面の強化・補填が目的の物から、見た目・保存面における利便性重視のちょっと身体に悪い物まで。幅広い・・・」

「うん、そうだなぁ」

「・・・要するに、もはやあまねく料理において、切っても切れぬ縁を持つもの・・・」

「・・・うん?」 ちょっと嫌な予感。

「つまり、『もう、お前の愛無しじゃ生きられねぇ・・・!結婚しよう、白銀!!』というシャイな昶なりの・・・」

「落ち着け、それ絶対違うから。な?」

洸は白い奴が全部言い切る前に止めに入る。

「落ち着いてなんかいられますか!?
こうしている間にも、昶君が一人ベッドで悶々私を待っているやも・・・「いや、それないから。あと口調」

一刀両断。

大体 流石にまだ学校に居るだろ・・・

「まぁ、確かにな。周りに賢吾もいたし、プロポーズには適さない環境だったな…」

他にも否定要素は有るだろうと思ったが、意外と素直に認めるから黙っておく洸。

「ですが、昶君が愛の告白に対し、そういった場所とか、タイミングを気にしない手合いだとしたら「だからねぇって。あと口調!」

流れるような動きで正拳突き。

「きっとあんたが思うような深い意味なんてねぇよ、絶対!」

早く 理解して欲しい。ホント。
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