お話

□その、何気ない言葉に…
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「・・・そうだな。うん、大分頭冷えてきた。やっぱりお前に相談して正解だったな」

ここに来て。ようやく自分がまだ帽子を被っていたことにきづき、自身の膝の上に下ろす白銀。

「ああ、これからもドシドシしてくれ。いよいよって時は俺が永眠させてやるよ。」

いわば戦友であり、好敵手ともいえる相手に、屈託のない笑顔で告げる洸。

その手には どこから取り出したのか、すでに 何か色々着いてる・・・いわゆる伝統の釘バットが握られている。

「ああ、因みに洸は『焼きそばパン』だそうだ」

「炭水化物の近親婚代表!?」

思わず手にしていた物を投げつける洸。

どゆこと!?

いや、確かにアレうまいよ?
たまに食べたくなるよ?
でも自分で作る気にはなれない。

そんな、販売する店側にとっては絶妙なラインに位置する『奇跡の御パン』。

しかし、売ってる物は大抵そばと紅生姜のみを挟んだ 炭水化物オンリーモノだ。

炭水化物オンリー帝国の宰相格。

(それが・・・俺!?)

料理に関しても、それなりに腕の立つ洸は大きなショックを受ける。

せめてキャベツを入れて、野菜もとってくれ・・・!! いや、紅生姜が野菜に入るのか?・・・いや、しかし・・・!!

洸がまだ幼く、覚醒を果たしていない自身の王の御言葉に、独り悶えている時。

「とりあえず、確実に添加物入りですよね」

釘バットの釘を、一本 一本引き抜こうと 悪戦苦闘中の白銀より一言。

「嫌なこと言うな!!あと口調っ!!」

渾身の百連脚。

ああ、劉黒。
あんたなら何て言うのだろう・・・?

「うなぎパイ。
あれって、本当にうなぎを粉末状にしたものが入っているらしいぞ?」

・・・あれ?何か聞こえた・・・劉黒?うなぎぱい?

色んな境界線を、問答無用で突破してきた最愛の王の御言葉に感動(こんらんと読む)する洸。

「なんつーか、お前も大変だよなぁ・・・」

全ての釘を抜き終えたバットで素振りをする白銀。

基本は内角、センター返し

そんな時。

「ちわー、洸兄! こないだ借りたCD返しにきたよ。…あれ? 白銀さんじゃん!どったの? 昶なら家帰っちゃったよ、一人で 」

賢吾君、入場。

「ああ。洸に少し、所用がありまして・・・」

ふと、部屋の隅を見やる。洸が

「何?どゆこと?アキ・・・リューコ?」

何やらブツブツ言って 体育座りしている。

「・・・・・・」

静かに首を横に振る。
白く美しい髪がそれに続いて揺れた。

賢吾は特に気にした様子もなく。

「ふーん。あ、白銀さん。あの後屋上で俺も昶に『俺は何?』て聞いたんだよ」

「ほう。で、昶君は何と?」

「『お前はオム焼きそばだ』って!」


「「卵で包むように!?」」

二人の絶叫が木霊した。











おわり
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