お話

□愛を告げる時
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――― 言ってから
少し 後悔したのは


秘密だ





俺は自力で あいつや洸兄、周りに自分を認めさせる。
その考えは確かに自分のもの。
間違い無くそのつもりだし、実行もする・・・というか している・・・・・はず。

けど本当は 頼りたい とも思ってしまっている。
手っ取り早く、聞いてしまいたい。

どうすれば良い?

いっその事、懇願する事だって考えてしまう。

こっちを見て!


ああ、でもそれは 流石に 無様過ぎる。
そんなに弱いだけの自分は許せない。
あちら側を知って、改めて知った己の脆弱さ。
力が無いことに加えて、そんな弱さを他人に見せてしまうようなら・・・
そんな俺は 消えてしまえば良い。


以前あいつは言った。

『・・・覚醒してから話すべきと思った・・・』

話す必要があるという事は、覚醒した後も 俺は俺のままでいられるという事だろうか・・・?
それとも。また、適当な事を言ったのだろうか・・?

本当は 俺を塗り潰すように、劉黒とかいう王サマが出て来るんじゃ・・・?

それなら それで、俺が格好悪い醜態を晒す前に サクッと出て来て欲しい。

大体。こんなジワジワ生殺しって悪趣味すぎる。
時間を持て余す度、嫌な考えがよぎる。白銀も洸兄も『劉黒』を視てる。敵側の奴らも、『劉黒』を捜してる。
『俺』が消えた時、彼等は少しでも思い出してくれるのだろうか?
『俺』を





ああ、てゆーか俺。
ネガティブ過ぎるな。
『自力で・・・』とか言ったのに・・・。その直ぐ後の思考がコレかよ。
思いっきり逃げまくってんじゃねぇか・・・!

でも、具体的に何をすれば良いのかと考え出すと・・・・・
派手な活躍を望むつもりも無いが、そもそも地道なレベルアップのあるゲームじゃねぇし。

戦力としてが無理なら・・・愛想良く、細やかな気配りを。どこぞの有能な執事張りに・・・・・・・・
・・それ もう俺じゃねぇし!あいつ力もあるし!俺じゃねぇよ!!

考える程に脱線して。
逃げてたまるかと思い直す度に、やっぱり無理だと行き詰まる。

その繰り返しの様を

「・・・・・・・・」

白銀がじぃ〜っと見ていた。

(昶が独り百面相。・・・やっぱり色々弱ってんのか・・・?)

先刻の自分の考え無しの発言が悔やまれる。


いや、まぁ。こんなん 滅多に見れないだろうから、面白・・・
いや、でも。そこまで 追い詰めたという事であって・・・
いや、まぁ。何気に ちょっとカワイ・・・
いや、でも。いや、まぁ・・・

俺、最低過ぎるだろう。


16のガキに無意識に

『無意識に』・・・!!

縋って追い詰めるような事 言うとか・・・!
・・・・・・無様過ぎる・・・。

「・・・昶君」

そっと呼び掛ける。
しかし、本人には悪いが。端から見ている分には面白い様子で深い思考に浸かっている少年には、その声は届かなかったらしい。

ふと、笑みが零れる。

普段、どんなに醒めた態度で周りをあしらっていても。こういった姿は、ちゃんと年相応だ。
悩む というのは、この年頃『らしい』と白銀は思っている。
本当に醒め切ってしまった人間は、悩んだりしないから。
既に結論付けて、別の 自由な可能性を諦めた人達だから。

(・・で、それを年長者が無意味に引っ掻き回したんじゃ・・・格好悪いよな)

そう。悩むことは、あって良いのだ。
だが、それを当事者以外が悪戯に掻き回すのは 頂けない。

(嗚呼、でも。どうしたモンかな・・・)




白銀は、

少しの間 思案して、


そして


















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