お話

□ミンナがケモノ!!物語
2ページ/6ページ




「・・・何だ、お前・・?」

真っ正面から声をかけられては無視するわけにもいきません。
アキラは仕方無く、せめて此方から・・と若干喧嘩腰に尋ねます。
しかし、白鴉はニコニコ
胡散臭く返します。

「私はシロガネと申します。・・可愛い猫さん?」

「・・・俺はアキラだ」

むぅ、そうくるか・・とやっぱりちょっと不機嫌にアキラも名乗ります。

そんなアキラに、これまたやっぱり白鴉の『シロガネ』はニコニコと返します。

「こんな開けた所に貴方の様な可愛らしい子猫が一匹ぽっちでいたら、危ないですよ?
おっきな鳥とか鴉とか、でっかい鳥とかにさらわれたらどうするんです・・?」

・・・確かに迂闊だったかもしれない。

鴉の言葉も危機感を目覚めさせるに充分足るものだったのですが、それ以上に


鴉の目が ヤバい気がする。


「・・・ね?一匹で居ないで、私と少しお話しませんか・・?

私、只今とっても困った悩みが有るんです」


アナタをタベテしまいたい


・・・幻聴が聞こえました。

(本当に幻聴か・・?)

アキラはじりっと後ろ足を引いて、このまま逃げてしまおうかと考えます。

・・・ですが、

(・・・無理か・・!)

相手は鴉。
空を翔る者から、この空の開けた公園で逃げ切る事は難しいでしょう・・・

「・・お前、鴉だろ。仲間と相談すりゃ良いじゃねぇか」

何とか時間を稼いで隙を作れないだろうかと、アキラはそう話しかけます。

すると、意外にもシロガネは真面目に返して来ました。

「それが、私って こんなナリですので・・・ハブられて除けられて、鴉仲間は居ないんですよ」

そう話しながら、自身の真っ白な羽を示す。

でも・・・

シロガネが続けます。

「居ないのは『鴉』仲間です。一羽だけ、大事な仲間が居るのです。
居るのですが・・・
その事で考え事をしていたところで、貴方を見付けたんですよ」

「へぇ・・・」

何だか、逃げる必要は無さそうだ。

これなら話くらい聞いてやろうかな・・そう考えた時でした。

シロガネがこうも続けました。

「貴方はその私の大事な仲間にそっくりです。

・・・食べてしまいたい位です よ・・・」


「・・・っ」

アキラはさっと方向転換。
シロガネとまっ正面に対峙する位置から、直ぐさま猛烈な勢いで駆け出します。

可能性がどうこうでなく、逃げなければならないのです。

ですが、残念な事に 逃げ切る事はかないませんでした。


「はぁーなぁーせぇーっ!!」

「良いじゃないですかぁ
ちょっと位!
食べちゃいたい位可愛いと思っているんですよ☆」

「だから嫌なんだろうがっ!?『☆』とか、ウゼェッ!」

がっしり掴んで頬擦りしてくるシロガネに肉球でパンチしながら、アキラは必死に叫びました。

勿論、『断固拒否』・・と。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ