お話

□世界に零れ落ちた君
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残されたのは


総てを奪われた

何も護れなかった

己のみ。












とどのつまり、
お前が世界に溶け込んでしまった事が、あの子の『母』であり、其れ無くして、 あの子の誕生は無かったという事だ。


思い出すのは、
お前の言葉。


同じモノは、一つとして無いよ

無いんだよ。


世界にどうしようも無く広がった、内に光と闇を抱える『人間』。
存在ではない。
その内に有る、心が。

どちらかと言えば、影に力を与える事の多い其れを、自身でも扱い切れないモノを、標準装備している 酷く面倒な生き物。

影だけの者も、光だけの者も居ない。



お前は言った。


同じ存在は無い。

ずっと見ていても飽きない。

愛しい。



しかし、俺に言わせれば 些細な違いだ。

全て同じに見える。

大差の無い、小さなモノ。

確かに、表面的な性格は千差万別・・・かもしれないが、本質は変化に乏しい。

俺が漏らした感想に、お前がつけた採点は・・・


困った様な、はにかんだ様な 苦笑。


心配は要らない、お前が思う程 辛いものでもないから・・・


光の側に在って尚、内に影を持つ。
影の側に在って尚、内に光を持つ。

何て迷惑。

そして、どちらかと言えば・・・明らかに影の割り当てが多い。

そして、少しずつ

しかし、無視出来ない闇が

お前を蝕む。

其の事実が、無性に

どうしようも無く













腹立たしいモノだった。














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