お話

□星を追い掛けた日
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「・・・もう直ぐクリスマス・・なんですねぇ・・・」

突然、隣にいる白銀がそんな事を言った。

昶は気の無い視線を向ける。

だが、白銀の方も、特に会話を求めて口にした訳ではなく、何となく呟いただけらしい。

続きは無かった。

しかし、先程の呟きに、常には無い懐かしむ様な響きがあったと、遅れて気付いた昶は訊いてみる。

「お前、クリスマスとか祝った事あるのか?」

おや、と言う様な顔で白銀は振り向いた。

「気になりますか?」

にっこり尋ね返す。

「・・・話したくないなら別に良い・・」

嫌な顔・・・昶はそう感じながら、顔に出しながらムッツリ答えて、視線を読みかけの洋書に戻す。

その態度に・・白銀に対して『努めて』無関心に本の文字を追いかける少年の様子に、銀色の影人はクスリと笑んだ。

「私、基本が無神論者ですから『祝った』事はありません」

昶は ふぅん、と返した。

「じゃ、面白可笑しく騒いだだけ・・とか?」

日本人みてぇ・・

昶のそんな言に思わず笑みが深まった。

「まぁ、大体は・・そんな感じですが・・・」

「・・何だよ?」

「バカ騒ぎしたのとは、また違いますよ」

「パーティーして楽しんだワケではない・・と?」

はい。

銀色の影の笑みに、間違え様の無い、確かな懐旧が滲んだ。

今まで見た事の無かったその表情に、昶は内心おっかなびっくり問いを重ねる。

「じゃ、何したんだよ・・お前が『聖夜』に家族や恋人と語らう所なんて想像もできねぇぞ・・?」

「あ、酷いですねぇ・・
私にだって心温まるエピソードの一つや−二つ!!」

「おいっ、一歩進んで二歩下がってんぞ!?
『無い』なら兎も角『−』って何だっ?マイナスって!?」















少し前までは、両親夫婦は共働きで、一人っ子故の静けさが常だった一軒家に、有り得なかった筈の『お喋り』の声が響く。

それは騒がしい事この上なく。

呆れと可笑しさと愛しさが丸ごとくるまれた

怒声だった。


「お前はいっつもそうやってヘラヘラ笑ってりゃ誤魔化せるとか思って・・っ!!

別に知りたいワケじゃない!恥ずかしがってるんじゃない!!拗ねてない、寂しくない、恋人じゃねぇええ――っ!!」






ナイスなツッコミですね!!

恋人の事を知りたいと思うのは当然の事・・!
恥ずかしがらなくて良いんですよ、拗ねないで、傍に居ますよ、昶君!!


とか言われたらしい。
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