novel

□ささのはさらさら
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問い掛けてみると、境の表情が微かに引き攣った。
「・・・なんで」
「何となく。言いたくなけりゃいいけどさ」
「お前馬鹿じゃねえの、願い事は人に言ったら叶わないんだぜ?」
・・・と、いうことは境の願い事は絶対叶ってほしいものなのか。
まあ、だいたいこいつのお祖母さん絡みだと想像はつくが。
「そういうお前は何書いたんだよ」
「大学合格できますように」
「嘘つけ、うちの学校エスカレーター制じゃん」
「お前が言ったんだろ、願い事は他人に言ったら叶わないって」
俺の言葉にぐ、と境が詰まった。
勝負あり。
「とりあえず、願い事はさておきさっさと笹片付けようぜ。早くしないと稀雪達帰ってくるだろうし」
「あー、そうだな。じゃあ、おばさんに笹の始末方法聞いてくるか」
頷きあって踵を返す。
後ろでは笹の葉が風に揺れて涼しげな音を生み出していた。


ささのはさらさら
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