novel

□祭の後に
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というわけで七夕の翌日、7月8日。
寮の談話室を陣取った俺達の前には、5人分の短冊が置かれていた。

「・・・短冊返されても困るよね」
「きゆの言う通りだよなー。別に願い事叶うわけじゃねーんだからさー」

ひらひらと短冊を弄りながら、境が稀雪の意見に賛同する。

「やっぱ普通にごみ箱にポーイでよくないか?」
「でも罰当たりかもよ?」
「去年は勝手に捨てても何も罰なんか当たんなかったじゃねーか」
「寮母さんに見つかって怒られたじゃん、俺怒られんの嫌だぜ?」
「・・・ねえ、園崎君、普通は短冊ってどう処分するの?」

俺、稀雪、境の三つ巴の阿呆な言い合いを見兼ねたのか、澤鳥が利助に聞いてくれた。
先程からずっと携帯を弄っていた利助はようやく顔を上げる。

「今、とりあえず調べてみたんだが、世間一般では短冊は海に流すらしいな」
「海に?」
「海に近い地域だけみたいだけどな。どうせ捨てるなら、それに近いことやったらどうだ」

寮の近くに川があっただろ?と利助が提案する。
退屈してた俺達の中で反対意見なぞ出るはずもなく、数分後には全員で川に向かったのだった。
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