モノクロ
□01:真夜中の掃除人
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確かに、この手で人を殺した。
国同士の争い事に巻き込まれたから仕方なく。とでも言えば、お前はオレを許してくれるだろうか。
「さ、あなたの番ですよ」
オレがにこりと笑って近付けば、オレの右手に見える銃にあいつは怯える。
「……どうして、人、殺す?」
未だ慣れない言葉を使い、オレに必死で訴えかける。
裏切られた。そんな顔してオレを真っ直ぐに見つめてくるあいつは、何も知らない。
何故オレがここにいるのかを、何故オレがお前に銃を向けているかを。
「……強いて言うなら、この世界で生きていくにはあまりに理不尽な存在なんです。僕も、あなたも」
ふと、空を仰ぐ。巻き上がる煙の隙間から顔を出している空は、いつものように清々しい程に晴れ渡っていた。
モノクロ