Novel = short=

□☆その温もりは僕だけのモノ
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雲一つない碧空の下。

屋上でのんびりと雑談――俗に言うサボタージュである――をしていた昶と賢吾だったが、突然昶は賢吾にこんな要望(というより命令)を出した。


『膝枕をしろ』、と――。


『その温もりは僕だけのモノ』


「…あ、あのさ…昶…」

「なんだよ」

「…やっぱり、止めた方がいいって……俺の膝、そんなに柔らかくないしさッ…」

一応要望通りに昶に己の膝を提供した賢吾だったが、どうしても自分の膝が心地の良いものだとは思えないし、二人しかいないとはいえ気恥ずかしい。

だが何度言っても、昶は賢吾の言い分を聞き入れることはなく。

「なぁ…昶…」

「うるせぇ。犬は黙って主人の命令に従え」

一刀両断、手の打ちようがない。

「…だから、俺犬じゃないってェ……」

賢吾はカクッと肩を落としてうなだれる。

だが昶は気にすることなく『チャイムが鳴るまで起こすな』と言って、すぐに寝始めてしまった。


間を置いて聞こえてきた寝息に、賢吾はある意味感心する。

「…相変わらず寝付きいいなぁ…」

賢吾が試しに頬をつついてみるが、昶は眉を顰めるだけで、目を開けることはない。


「考えてみりゃ…ここのところコクチが大量に出て、昶もあまり休めなかったみたいだしなぁ……」

白銀は先程『たまには2人っきりでゆっくりしてください』と言って、ドッペラーを置いて去ってしまった。

(…白銀さん、気を遣ってくれたんだ……)


白銀に心の中で礼を言って、賢吾は手持ち無沙汰に昶の髪を梳く。
サラリとしたその感触が心地よく、賢吾はつい何度か昶の髪を梳いてしまう。

(ねこっ毛だけど、髪質はそんなに悪くないんだよな……)
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