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□真っ暗な世界でも
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昔から少し視力が弱かったが何も見えないわけではなかった


けれどある日突然俺の世界は真っ暗になった


「どうですか?何か感じますか?」

「赤い点が薄ら見えます」

「…大分進行しているようですね。」

今日は定期検診の日だ。
数少ない友人の一人である山本に病院まで連れてきてもらった。

少し前まで一人でいけたのだけど、事故に遭い強い光でもぼやける程度にまで視力が悪くなった今の状態では危ないとわざわざ部活を休んでまで連れて来てくれた。


そう…
俺は、いや…俺の家族は事故に遭ったんだ

その所為で父さんと母さんは即死。
俺は一命を取り留めたものの頭を強く打った所為か完全に光を失った。

あの日から俺の世界は真っ暗になったんだ

外に出ても、家にいてもつまらなくなって俺は俺の殻に引きこもるようになった。

外出も定期検診以外にあまりしない。
ご飯は定期検診の後に大量の惣菜を買い込むから、買い物も滅多に行かない。

それでいいんだ……

だって今まで見れていたものが見ることが出来ないなんて悲しすぎるから




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