11/11の日記

18:45
甘いものはお好きですか?(ヒバツナ)
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雲雀は朝から機嫌が悪かった。
何故なら今日はバレンタインデーでもないのに菓子を校内に持ち込む者が多かったからだ。

学校に不要なものを持ってくるなんて、風紀委員会を馬鹿にしているのか。

持ち物検査で次々と生徒の鞄から菓子が出てくる度に雲雀の眉間の皺は深くなる。

あまりの形相に周りの生徒は怯え、彼の忠実な部下である草壁でさえ距離を置く程だった。

雲雀はちらりと没収した物を見ると、細長い形をした菓子類が目立つようだった。

そこで雲雀はあぁ、と気が付いた。

本日、11月11日はある菓子の形に似ていることからその菓子に因んだ日であるからか、と。

なんてくだらない理由だ、と雲雀はふんと鼻を鳴らした。

「先に戻る」

そう短く告げると校舎に戻っていった。

そして自分の城である応接室のソファーに腰を掛け、没収した菓子をもう一度見た。

自分自身がこの類の菓子が好きではないからかも知れないが、こんなものの何がいいのかさっぱり解らない。

けれど……、あの子だったら好きなのかもしれない。
応接室でいつもお茶請けのお菓子を美味しそうに頬張る小動物を思い出した。

その姿を思い浮かべ、笑みが零れた。

(会いたくなったな……。)

時計は短針が8を指していた。
そろそろ来る時間だろう。

もし、遅刻したのならそれを口実に連れていけばいい。


先程までの不機嫌はどこへいったのか、鼻歌を歌いそうなほどな機嫌で再び校庭へと向かった。


もう間もなく予鈴が鳴るためかバタバタと慌ただしかった。
辺りを見回しても、フワフワとした茶色はない。

校門に寄り掛かったところで予鈴が鳴った。
彼はまだ来ない。思惑通りだ、口角が上がった。

予鈴が鳴って数分経ったところで息を切らしながらこちらに向かってくる茶色を見付けた。

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