気づくと増えてるそんな感じ…。だったらいいよな。
□PLATONIC LOVER
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『好き』
『大好き』
『愛してる』
愛の言葉なんて所詮は幻
【PLATONIC LOVER - 精神的恋愛者】
俺と香里は付き合ってもう12年になる。
現在、互いに27歳。
互いに愛を囁いたこともなければ、体を交えたこともない。
ただ、時を一緒に過ごしてきた。
もちろん、これからもそのつもりだ。
「勤。どうかした?」
「いや、何でもないよ。」
「そう?ぼんやりしてたじゃない。」
香里が俺の額をつついた。
「そんなにぼんやりしてたか?」
「してた。」
「考え事してたつもりなんだけど。」
一口、コーヒーを飲む。
「そうなの?見えなかったわ。」
香里はクスクスと笑う。
「失礼だな。」
自然と頬が緩む。
「何、考えてたの?」
香里もコーヒーを口にした。
「もう12年たつんだなと思って。」
そう告げると香里は嬉しそうに笑った。
「すごく早い12年だったわ。」
「だな。」
あっという間だった。
「あぁ、そう言えば…。
お父さんがそろそろ結婚を考えろって。」
結婚…。
それは俺と香里が人生で唯一、愛を語り合うと決めた日。
「でも、結婚は3年後。」
「3年後でしょ。」
香里は俺と言葉を合わせた。
俺は笑って問う。
「子どもは?」
香里も笑う。
「4年後に1人。」
「2人目は?」
「5年後。」
「3人目は?」
「8年後。」
「4人目は?」
「3人でいいの。」
二人して声を上げて笑う。
これは昔、二人で決めた計画。
考えたのは、つきあい始めて3ヶ月くらいの時だった。
ふとした瞬間に1つの質問を香里にして、
それで2人で将来について色々考えた。
子どもの戯れ言のようでも
今じゃ、現実。
『将来、どうしたい?』
『一緒にいたい』
俺はまた香里に問う。
「将来、どうしたい?」
「ずっと、一緒にいましょ。」
香里は微笑んだ。
俺達は、ただ一緒に時を過ごす。
愛の言葉なんて所詮は幻。
互いに愛の言葉なんて囁くことなく。
ただ…一緒に。
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自分の中では比較的、平和な話です。
偶然、そして何となく生まれた話です。
短編らしく1頁ですんでよかった。
2008,11,03.