気づくと増えてるそんな感じ…。だったらいいよな。

□短編
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何故、僕がここにいるのか。

ここに入れられたのか。

思う存分考えた。

考えた結果、有力候補が3つ。


一つ目は。

実験。

ほら、SF映画とかホラー映画とかでありそうなやつ。
人体実験とか行動実験とかそういうたぐい。

可能性は十分。
調べてわかったが、この部屋、廊下、機械。
全てに監視カメラがついている。

観察物?
そんなものは僕以外にない。


二つ目は。

病院。

僕が重度の精神病患者。
もしくは感染症発症者で、ここに入れられている。

これも可能性は、十分。
僕は普通じゃない。

それから、ここに僕を入れた相手に敵意はない。

決まって食事がだされることがその証拠。


三つ目は。

夢想。

いわゆる、夢オチ。
これは僕の夢で現実じゃない。
全ては僕の幻想と妄想。

これも、可能性は十分。
僕はよくおかしな夢を見る。

最もここに入ってからは見てないが…。


この三つからどうもしぼれない。


気づくと考察を始めてさらに1ヶ月。

食事と消灯を数えて240日。

柵の外に人を見たことはない。
ただ、白い壁が続く。

僕は三つのどれかを証明する証拠を探していた。

くだらない。
だが、考察に決着もつかず、することがない。

そう過ごしていると微かに音が聞こえた。

女の笑い声。
クスクスと静かに響く。

久しぶりに聞く。
生活以外の音。


柵の外に一人の女の子がいた。

くまのぬいぐるみを抱いて、僕に笑いかけた。

何となく、柵の間からその子の頭を撫でる。

すると、その子は白い壁の間を走りぬけていった。

手には確かな人の感触。

これで三つ目の可能性はなくなった。




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