短編小説3
□携帯灰皿
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いや、好きな人に『可愛い』って言われて嬉しくない女子は居ないと思いますよ?
でも、さ。
恋人同士として、これはどうなの?
「あー、もう可愛い。ほんと可愛い」
「……オイ、おっさん」
「なんなの?ほんとなんでこんなすっぽり収まるサイズなの?あーもう可愛い」
「オイこら聞けおっさん」
ソファの上で恋人にがっちりと抱き込まれ、私は荒い息を吐く。
可愛い可愛い言って貰えるのは良い。
頭を撫でられるのも構わない。
しかしなんだ、このペット扱いは。
私はあんたのペットか?
それとも娘ですか?
「それのなにがご不満ですか」
「恋人扱いしてください」
「恋人扱いねぇ……」
そうして、恋人は少し何か考えるそぶりを見せたかと思えば、膝に乗せていた私をおもむろにソファに押し倒して。
「恋人扱いっつーと、こうなりますが?」
そう言ってにっこりと微笑んだ。
「つまり、おじさんの気遣いは無用なわけだね?」
「……ナマ言ってすんませんした」
『プッシーキャット』