短編小説3

□携帯灰皿
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「なぜだ」
「ん?」
「なぜ若者は『パーティ』を略す」

澄み渡った冬空。
それがよく見える、大きな窓のあるマンションの一室で。

突然、おっさんがなんか言い始めたんですが。

「突然どうしたの」
「学生からメールが来た」
「あー、ゼミの?」
「そうだ」
「ふん?で、なんて?」
「なべパするから来ないか、と」
「好かれてんじゃん、教授」
「なぜだ!なぜパーティを略す!!」

そう言って、まるで研究に行き詰まった時のように。
いや、それ以上に険しい顔をして、おじさんは頭を抱えた。

「“なべパ”だか“たこパ”だか知らないが、なぜ……なぜだ!?」
「めっちゃ色々誘われてんじゃん」
「なぜ略す!?パーティだぞ、パーティ!略すほど長くないだろ!?」
「略すのに意味とか効率とか関係無いでしょ、たぶん」
「納得出来ない!!」
「じゃあ逆に聞くけどさ、どんな略し方なら許せるの?」
「ちょべりば!超ベリーバッドは長い!」
「古いわ。しかも大して略せてないし」

さすがおっさんと言うか、なんて言うか。

時代に必死に付いて行こうとするも、振り回されてる感がすごいわ。

「まぁ、本人達に直接聞いてみれば?」
「は?」
「私にもライン来てた。なべパ、行ってみましょうぜ、教授」

さぁて、二人揃って行ったらみんなどんな顔しますかねぇ。

楽しみだわ。

















『パーティに行こう!』
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