短編小説3
□等身大のI love you.
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〜須崎海美&朝倉東組〜
須崎海美(以下、海):「“I love you”を日本語に訳してくだサイ」
朝倉東(以下、東):「“あなたが好きです”?」
海:「……間違ってはいないんだけど、いまいち面白みに欠けるよね」
東:「面白み、と言われましても……」
海:「かの偉人は“I love you”を“月が綺麗ですね”と訳したらしいわよ。とんだ迷言よね」
東:「あぁ、そういうのをお望みでしたか」
海:「お望みでしたのよ」
東:「そうですねぇ……“海美さんが好きです”とかどうです?」
海:「うん、これっぽっちも嬉しくない上に不正解だね。固有名詞は入れちゃ駄目でしょ」
東:「えぇー、そうですかぁ……そうですねぇ、……なかなか難しい」
海:「あ、ちなみにこの問題、篁にも出題するから。今頃、答えてんじゃないかな」
東:「なんですって?……あの変態美術教師も、この問題を?」
海:「たぎるでしょ?(笑)」
東:「ある意味ではね。……うーん、こうなったら負けるわけにも行きませんしねぇ」
海:「今こそ見せてやりなさいよ、ニートの力を」
東:「仕事はしてますよ!」
海:「あぁ、ごめんごめん、間違った。自宅警備員だったわね」
東:「自宅じゃないです!!ただちょっと室内仕事なだけで……」
海:「……引きこもり、かぁ」
東:「何か仰いました?」
海:「ううん、べつに。それより、早く訳しなさいよ。はい!“I love you”と掛けましてぇー!?」
東:「笑点!?海美さん海美さんっ、難易度上がり過ぎッ!!」
海:「はいはいすいませんねー」
東:「愛が感じられないです!!」
海:「元々無いからねぇ」
東:「えっ!?」
海:「もう良いからもう分かったからさっさと答えてクダサイ」
東:「……すいません」
海:「分かれば良いのよ」
東:「…………」
海:「はい!“I love you”を日本語に訳してくださーい」
東:「(編集ポイント作りやがりましたよこの子)……えぇと、“一緒のお墓に入って下さい”とか?」
海:「却下」
東:「なんでですかぁ!?」
海:「重い。オマエの愛、重い」
東:「二回言わなくても良いでしょう!!」
海:「大事な事だから……」
東:「二回言った、と?」
海:「はい!“I love you”を日本語に訳してくださぁい!!」
東:「(スルー!?)」
海:「……ほら、早く」
東:「“僕を殺さないで”?」
海:「なぜ懇願する。どんな時代設定にすればそんな台詞が出るんだ」
東:「え?だって……」
海:「だって?」
東:「僕、海美さんが居なきゃ死んじゃいますもん」
海:「…………却下」
東:「なんでですかぁっ!?」
海:「うるさい」
不覚にも、ときめいた、なんて。
絶対言ってやるもんか。
I love you.
この二人のお付き合いは、順調に行ってるみたいです(笑)