短編小説3

□SとMの解明
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月島刹那(以下、刹):「さぁて、めーちゃん、問題です」

綾倉芽衣(以下、芽):「…………(すでに嫌な予感がするんですけど)」

刹:「“S”と言えば?」

芽:「…………ちっさいサイズ?」

刹:「またまたぁ、かまととぶっちゃって」

芽:「……えぇー」

刹:「うーん、出題の仕方を変えようか。俗に言う“S”とは何の略でしょうか?」

芽:「じ、時間の単位、とか……?」

刹:「…………(にっこり)」

芽:「(ひぃッ!?笑顔が怖いぃッ!!)」

刹:「めーちゃん」

芽:「はっ、はいぃッ!!」

刹:「最後にもう一回だけ聞いてあげるね。南を表す記号でも南緯を表す記号でも、はたまた面積を表す記号でもなく、硫黄の元素記号でもない、そんな“S”って何のことか分かるかな?分かるよね?」

芽:「(あなたのことだと叫んでやりたいでも出来ない……)」

刹:「めーちゃん?」

芽:「ぅえッ!?え、ぁ、……さ、サド?」

刹:「正解。めーちゃんは賢いねぇ。……ぁ、でもね、正確にはサディスト、もしくはサディスト的要素のことなんだよ」

芽:「へぇ……」

刹:「じゃあ、次の問題ね。“S”がサディスト、なら“M”は?」

芽:「……えぇと、まぞ、ひ…ず?あれ?」

刹:「だいたいは合ってるよ。そう、マゾヒスト。めーちゃんのことだね」

芽:「…………えぇー」

刹:「めーちゃんは、いつからそんな話の腰折るような悪い子になったの?(にっこり)」

芽:「ッ、すいませんッ!!」

刹:「分かれば良いんだよ(にっこり)」

芽:「ぁは、ははは(怖いよーッ!!)」

刹:「でね、話の続きなんだけど、世間様的認識での“S”と“M”っていうのは、どこか誤解されがちだと俺は思うんだよね」

芽:「誤解……?」

刹:「そう。……例えば、そうだね、めーちゃん」

芽:「…………?」

刹:「めーちゃんの認識での“サディスト”と“マゾヒスト”ってどんな感じ?」

芽:「……え?言うの?ここで?」

刹:「言いにくい想像でもしたの?(笑)」

芽:「ッ!?違うもんッ!!」

刹:「じゃあどうぞ、言ってください?」

芽:「ッ!!イメージではッ!!」

刹:「イメージでは?」

芽:「…………ッ、」

刹:「めーちゃん?(にやにや)」

芽:「ッ、……鞭とか、ろうそくとか、」

刹:「めーちゃんってば純情なふりして結構マニアックなとこ行くねぇ」

芽:「……なんかの本で読んだんだもん」

刹:「どんな本読んだのかなぁ、そんなこと書いてあるなんて。もしかしてめーちゃん、興味無い振りして実は、」

芽:「ち、ちがっ、」

刹:「まぁ、この話はまた今度しようか」

芽:「(……もう何も言うまい)」

刹:「とりあえず今は正しいSとMの認識をしてもらわないとね」

芽:「正しい?(まずSとかMとか言ってる時点で正しくは無いと思う……)」

刹:「それがどうかしたの?(にこっ)」

芽:「ううんッ!なんでもないよセツ兄ちゃんッ!!」

刹:「そう?じゃあ、話を続けるね。さっきめーちゃんが言った通り、確かに“サディスト”は相手に肉体的、もしくは精神的苦痛を与えることで性的満足を得る異常性欲の持ち主のことで、」

芽:「(すごい話になってきたな……)」

刹:「つまり、さっきめーちゃんが言ってた、鞭とかろうそくとか、あとは縛ったりとか木馬とか拘束具使ったりとか火を付けたりとか色々あって、」

芽:「(……うわ、なんか目眩してきた)」

刹:「で、逆に“マゾヒスト”はその仕打ちを受けて喜ぶ人のことなんだよね」



 
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