短編小説4

□すろぉらいふ
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「……ちせ、きみはもう少し自分に自信を持ちなさい」
「……じしん?」
「そう」
「自信って、でも、っん、」

ゆっくりと言葉を交わしながら。
いつの間にか開かれていたシャツから覗く汗ばんだ胸に口づけられて。

羞恥心でどうにかなりそうなのに。

見上げてくる瞳から、目を逸らすこともできない。

「痕、つけないで……」
「どうして?」
「あと、見たら……っん、思い出して、だめになっちゃう、から」
「だめって?」
「っ、だから……あの、だめ」
「だめになるって、どうなるんです」

そう、慣れた手つきで背中に手を回して、下着を外しながら。
おじさんは少し意地悪な顔で笑う。

もう、やだ。ばか。

「ちせ、どうなるの?」
「っ、やだ……」
「気持ち良くなっちゃう?」

いやだ。
はしたない言葉。

それでも。

腕やおへその窪み、胸の膨らみを、唇や指先でゆっくりと愛撫されて。
気が狂いそうなほどのそれに抗えなくて。

私はこくこくとうなづいた。

「気持ち良い?」
「っ、う、ん……、っ」

まだ、触れていないのに。

はしたなく赤く腫れた胸の頂点と、いつも恋人を受け止める場所。
そこには触れていないのに。

胸の突起は膨れ、既に下半身は自分でも分かるほとに濡れてしまっている。

「自分でするとき、どこ触ります?」
「ぇ……、なに、」
「ここ?」
「ひやぁんっ!」

突然、きゅう、と突起を摘まれて。
焦らされすぎたその場所に触れられた瞬間、背中がソファーから離れるほどに体がのけ反った。

ぞくぞくと背中をはい上がる感覚。

体がびくびく震えて止まらない。
目の前が酷くちかちかした。

ああ、ああ……私、今。

「軽くイッちゃいました?」
「っ……言わない、でぇ」
「ここ、好きですよね。ちせは」
「ちがっ……、やっ、んん」

それまでの焦らし方が嘘だったかのように。
おじさんはくにくにと、私のはしたなく腫れ上がった胸の突起をいじる。

首筋に唇を落として、二の腕をはんで。

それだけの愛撫で、焦らされた体はいとも簡単に追い上げられてしまう。

涙でぼやけた視界。

見上げれば、いつも穏やかに微笑むその人の、少し余裕なさげな目とかち合う。

……ああもう、どうしよう。

好きだ。

「ちせ」
「ん……」
「好きですよ」
「……私も、すき」

まるで頭の中を読まれたみたいに。
おじさんは、私に小さくキスをしながらそう言って笑った。

そうして、立たせた私の膝に唇を移して。

ゆっくりゆっくり、足先や太ももへと少し熱くなった舌を這わせる。

いつの間にか、巻きスカートは奪われてしまっていた。

「んっ……はぁ、は」
「大丈夫、ゆっくりします」
「ん、へいき……」
「明日、バイトはお休みですか?」
「うん……おじさんは?」
「僕は残念ながら」

仕事を休んできみと居たいんですが、と。
どこか困ったように微笑めば、目尻にわずかな笑い皺が寄る。

それに私はほっと息をついた。

いつもおじさんは、私が緊張したり怖がったりすると、こうして違う話をして意識をそらしてくれる。

でも。

「可愛い下着ですね」
「……ん、ありがとう」
「でも……もうあんまり意味無いかな」
「ぇ……」
「ほら……びしょびしょ」

そう長くは続かないのも、いつものこと。

「もう、脱いじゃいましょうか」
「う、ん……」
「大丈夫、怖くないですよ」
「ん、うん……」
「いつもと同じです」

そう、いつもと同じ。

おじさんは私からその小さな布を奪うと、ゆるやかな動きで私の太ももを撫でる。
それだけでびくびくと体が跳ねてしまうのは、その先を期待するから。

そう、怖くない。

気持ち良いだけだ。

「少し、触りますね」
「ん……、っ、ん」
「……やっぱり」

すごく濡れてる、と。
耳に直接囁かれて、ぞくぞくと体に電流が走り抜けた。

視界がぼやける。

ゆるやかな快楽と、電流のようなそれ。

その緩急に、いつもいつも、翻弄されて。
どうしようもないほどぐずぐずにされた体の奥を、優しく暴かれる。

その指先に気が狂いそうだ。

「あ……はぁ、はぁ、っ、ん」
「大丈夫、これだけ濡れてれば痛くないはずです」
「っ、も、言わないでって、ん!」

くぱ、と開かれる感覚。
秘めた場所をさらけ出された羞恥と、そこをゆっくりとなぞられる感覚。

核心にはまだ触れない。

それでも。

びくびくと跳ねる体が恥ずかしい。


 
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