短編集

□いつもと違う君
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学校の帰り、あたしは中学時代の友達を久しぶりに遊んでいた。
早乙女学園に入ったあたしは来る日も来る日もピアノに向かって曲を作り続ける日々で、久しぶりに外出出来てすごく楽しかった。
部屋に篭って曲作りをするのも楽しいけれどたまにはこうやって外の空気を吸うのもいいな、と思った。
夜9時頃。
すっかり寮に帰るのが遅くなってしまったあたしは近道を通って帰ろうと薄暗い路地裏に入る。
少し怖いけど友ちゃんやパートナーである翔くんに心配かけないように早く帰らなくちゃとその道を通った。
でも。


「ねぇ君一人?これから俺たちと遊ばない?」
「好きなとこ連れてってあげるからさ。行こうよ」


急に腕をつかまれて、逃げたくても逃げられない状態。
泣くのを必死に我慢しながら離して下さい、と訴える。
でも聞き入れてもらえるはずもなく、ずるずると彼らの車まで連れて来られてしまう。
身の危険を感じたあたしは必死に抵抗した。


『いやぁ!離して!』


男の人の力に敵うわけもなく、我慢していた涙がじんわりと溢れてくる。


『助けて…翔くん!!』




















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