でんじゃらすGirl瑞樹

□デザートはチーズケーキに限る。
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「さーぁ!皆でケーキを食べにいきまっしょー!!!」




第4回
デザートはチーズケーキに限る。





午後の授業も終わり、放課後。

皆が帰り支度をする中、姫路がそう言った。




「疾樹くんもだからねん♪」


「わぁってるよ」




姫路がどす黒い笑みを浮かべそう言う中、俺は顔を引きつらせながらそう答えた。






カランコロン


扉を開けると、そう軽快な音が鳴り、俺達はそれに促されるように店へ入った。

因みに今居る所はクラスの女子共が姫路に紹介したケーキショップだ。




「へ〜可愛いお店だね〜」


「でっしょー?!ここ、たまに来るんだ〜」




そう一人の女子が姫路に言った。




「いらっしゃいませ。何名様ですか?」




そう店の店員が聞くと、姫路の目がキラリと光った。




「4名様でっす☆」




何かを企んだのかと思ったが、どうやら違ったようで。つーか




「なんでお前が4名様って様付けするんだよ。様いらねーだろ」


「だって言ってみたかったんだもーん」


「はぁ、」




そうちょっとしたトークを終え、店員は少し笑いながら席へと案内した。
ご注文がお決まりでしたらお呼び下さい。そう告げて。




「へ〜チーズケーキにも色んなのがっ!」


「ここってケーキの種類が豊富なんだよ〜あたしはフルーツケーキvV」


「俺はチョコレートにしよっと凌草は?」


「コーヒー」


「えぇ?!折角ケーキショップに来たんだからケーキ頼みなよ!!!」


「うるせぇ。無駄遣いしたくないんだよ」


「いいじゃん!あたしが奢るからっ!」




そう姫路がズパッと言った。良いのかよ?今日知り合ったばっかじゃねーかよ。
まぁ折角だし、奢ってもらう事にした。




「じゃ、抹茶。」


「ちゃっかりしてるよね。凌草くんって。」


「しかも渋いよな。」


「ここの抹茶ケーキって苦いよ〜??」


「いいんだよ。甘いもんそんな好きじゃねーし。」


「瑞樹は何食べるの?」


「ふっ、決まってるじゃない!チーズケーキよ!!!すいまっせーん、注文お願いしやーっす!!」




そう姫路が言うと、店員はまた笑いながら俺らのいるテーブルに来た。




「ご注文は?」


「チョコレートケーキと、抹茶ケーキと、フルーツケーキと、チーズケーキで。あと、飲み物はコーラ三つにコーヒー一つでお願いします」


「畏まりました。チーズケーキは何の種類に致しますか?」


「全部で!」




そう姫路は言った。
全部?全部って、全種類って事か?
ここのケーキはなんでも1品200円とお手頃な価格だ。
しかし、ここのチーズケーキはシュークリーム型、カップケーキ型と、全部で5種類ある。
それを全部頼むと、一人で1000円になるわけだ。




「ぜ、全部。ですか・・・?」




店員も不思議に思ったのか笑顔を少し引きつらせながら姫路に聞いた。
すると姫路は、はいっ!と答え、店員はまだ引きつった笑みで畏まりました。と言った。




「瑞樹、全種類食べるの?」


「うん♪」


「飯食えなくなるぜ?」


「それ以前に腹壊すだろ。」


「大丈夫!!チーズケーキは別腹よん♪」




いつものふざけた笑みで、姫路は言った。




「お待たせ致しました。」




店員はそれぞれ皆の分のケーキを持ち、皆の前にケーキを並べた。


姫路の前のケーキは、黄色一色で、なんとなく、不気味さを醸し出していた。




「いっただっきまぁすvV」




そう、幸せそうな笑みを浮かべて。




そして、皆が自分のケーキを食べ終わった頃。
姫路は最後の普通のチーズケーキの形をしたケーキを食べようとしていた。




「よく、そんなにお腹に入るね・・・」


「どんな胃袋してんだよ」


「見たい?」


「んなわけねぇだろ!」


「フッ因みにあたくしの別腹はブラックーホール☆あ、チーズケーキのみのねん♪」


「どんだけチーズケーキ好きなんだよ・・・」




そう俺は思わず口にした。




「何がどうなってチーズケーキ好きになったんだってのも気になるよな・・・」




栗真がそう言うと、姫路はケーキを食べるのを止めて、いつものふざけた笑みじゃなく、どこか寂しそうな顔をして、少し俯きがちに言った。




「アイツが、よく作ってくれたんだ」




と。“アイツ”とは誰なのか、恐らく俺意外の奴らも思っただろう。
けど、それを聞く奴は、誰一人としていなかった。






「ありがとうございましたー」



店員から心地良い挨拶で見送られ、俺達はケーキショップを後にした。

そして、ケーキショップの前で、栗真と同じ方向の宮元《ミヤモト》と別れ、俺と姫路はそれぞれの家へ、、、と行くわけもなく、一緒に帰るハメに。




「この辺て色々分かれ道があるから道覚えるの大変なんだよね〜」


「それは解かったけどなんで着いて来んだよ」


「だって同じ方向なんだから仕方ないでしょうそれに家隣だし。」


「それを早く言え」


「てへっvV」


「・・・」




無言で溜め息を吐き、姫路が一方的に話すこと約五分。
やっと俺のすむマンションへと辿り着いた。




「で?家何処だよ。」



もうこの際送ってやろうと思った俺は、姫路にそう聞いた。




「このマンションの疾樹くんの部屋の隣だよ〜」


「はっ?」


「言ったでしょ〜家隣って」


「・・・そっちの隣かよっ!



と、今までのツッコミより一際心を込め、ツッコンだ。




「も〜疾樹くん、そんな大声出したら近所迷惑だよ」


「誰の所為だ!」


「さ〜かっえりっましょ〜」


「ハァ。(もうどうにでもなれ)」



こうして、姫路登場一日目の夜は更けて行った。
(夜だったんだね)




謎多き乙女

(何となく、姫路にはもっと沢山、謎があるのではないかと思った。)













あとがき。

更新が遅くなって申し訳有りません(汗)
















 

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