司書室1

□Are You Ready? (―呼ばれて飛び出てジャカジャジャン☆☆編―)
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「♪〜、今日も一段と可愛いぜ。My Kitty☆☆」
午後の授業が終わり、放課後を迎えた時間。
下駄箱から視界に捉えている幸に気付かれない様に俺は呟いた。
何も知らずに前を歩く幸を無心に追い掛けてから何分過ぎたか何て知るつもりはねぇ。
可愛くて可愛くて仕方がねぇMy Kitty。
佐助の物になってるのが最高に気に入らねぇし、激本気ムカつく。
この世界で一番あんたを愛してるのは俺だってのによ。
馬鹿にも程がある。
―まっ、可愛さ余って憎さHundred Diameterとも言うしな。
近い内に絶対後悔させてやるから待ってろよ?
奴からのMailを返してるのか、左手に携帯を持って頻りに親指を動かす幸を凝視する。
相手が誰なのか知ってる分無性に腹が立った。
この俺が覗いてやってるってのにいい度胸してやがるぜ。
後ろから抱き付いて酷く犯してやろうか。
…が、ここで出て行っちまったら大好きな観察が出来なくなるからな。
今回は黙っててやる。
Mailを返し終わったのか幸はまた歩き始めて歩行者用の信号で止まった。
改めて認識させられた小さく、細い幸の背中に胸が痛んだ。
…俺にとって、あんたはやっぱ理想某の物だ。
さらさらの栗色の髪にどんな女よりも可愛い顔。
あれで男を知らねぇってのも堪らねぇ。
…ヤりてぇ…、無理矢理押し倒してヤりてぇ…。
そしたらあんたは、どんな顔をして抵抗するんだい。
そんな事を考えているといつの間にか両方の鼻の穴から鼻血が零れ、俺の物が硬く勃っていた。
見てるだけでこうなったのはあんたが初めてだ。
これが俗に言う"Destiny Of Woman"ってのなんかな。
どっちにしろ、俺はあんたから離れられねぇ様に開発されちまった。
何時か責任は取って貰うからな?
信号が青になると同時に前へ進む幸を追い掛けようとした直後。
「…何やってんだよ。政宗…」
呆れを含んだ元親の問い掛けが鼓膜を振動した。
「煩ぇ。あっち行きな」
振り返らず、俺が足を動かそうとすれば元親の右手に右手首を強く掴まれる。
「もう止めとけって。気済んだだろ?」
…Ah?
気済んだだろ?だと?
随分とナメた事言いやがる。
俺を馬鹿にしてんのか。
…それとも…。
鼻血を拭う事もしないまま、俺は振り返って元親の右手を振り解いてから襟元を鷲掴みにした。
「…あんた、幸の何なんだよ」
俺と同じClassの機械と付き合ってる癖に幸を狙うたぁふざけた野郎だ。
答えによっちゃダチであろうと容赦しねぇ。
静かに息巻く俺とは対照的に、元親は大きな溜め息をついてから襟元の拘束を解いて落ち着いた声で投げ掛ける。
「何でもねぇよ。だが、あまりにも目立ってたから声掛けただけだ」
正直な元親の答えに安心して、俺は軽く詫びてから再度前方を見た。
すると、既に幸の姿は無くなっていて落胆の色を隠せなかった。
最悪だ…。
このKY男…、本気で首締めてぇ…。
「政宗?」
名前を呼ばれ、我に返ってから左目を細める。
仕方ねぇ…。
今日はここまでにしといてやるか…。
「おい、腹減った。何か食わせな」
鼻血を拭いながら無難な提案を投げ掛けると、元親は苦笑して手提げからDVDを取り出す。
「丁度いいDVD借りて来たんだよ。見ようぜ」
Ahー…、こいつらしい。
こんな奴がダチかと思うと先が思いやられるってもんだ。
んな事は言ってみるが、駄弁ってて一番落ち着くのはこいつなんだが。
言うのも癪だから黙っててやる。
「Yes.構わねぇぜ」
俺の返事に気を良くしたのか、元親は苦笑を消して十字路を左に曲がる。
「そうと決まりゃ話は早い。行くぞ」
「分かってるっての」
前を歩く元親の背中を追い掛けて、俺はゆっくりと足を動かした―。

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