ダブルアーツ
□Merry X'mas!
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Merry X'mas
今日はオレ達が手を繋いでいる必要が無くなって初めてのイヴだ。クリスマス・イヴ。雪が降り銀色に染まったタームを歩く。道中、家族とはしゃぐ子供とすれ違い、電飾で飾られキラキラ輝くイルミネーションが所々で輝いている。シンシンと降り積もり、ある程度ふかふかした道をゆっくり歩く。吐いた息は真っ白だ。そして、タームはクリスマス一色。
「(うーんと、)」
さてどうしょう。
イヴだし。明後日はクリスマス当日だ。其処で察してほしいものがある。オレには待っている彼女がいるのだから、今日はとびっきりのプレゼントを持って帰りたい、と思っているオレ。
そして今、オレはプレゼントを探し求めて街中を物色しているわけなのだが、実はあげるものを、プレゼントを、何も考えていなかったのだ。
「…最近寒いっつってたし、膝掛けとか」
熱心な面持ちで本の執筆に励む彼女の姿が思い浮かぶ。常にワンピースに薄手の上着を着て、度々流れる冷たさに体を震わせる。暖房をつけてもそうなってしまう。彼女は意外と寒がりな割りに大丈夫です、って言う強がりだったから、そんな時彼女の細い肩にオレがさり気なく温かいフリースなりストールなり掛けてやる、とか。それもアリかもしれない。
でも膝掛けなんて、クリスマスじゃなくても渡せる。まぁそんなめっずらしいものを考えてるわけではないが、なんとなくパッとしないし。
「却下。うーん…じゃあマフラー、」
良いじゃん。オレと一緒で。
「ってオレは馬鹿か。」
自分の思考回路にツッコむ。…これじゃあどうにも決まらずに終わりそうだ。
どうしようどうしよう。布っていうか衣服類は既製品を探すよか彼女をイメージした服を自分で作った方が良い気がする。だから衣服類は一旦選択肢から外して、彼女を思い浮かべて一番にイメージ出来るものを…
と思って彼女を思い浮かべる。
「、あ」
アクセサリーとか。
ネックレスとか、指輪とかどうかな。ははは、オレ頭良い。アクセサリーだったら季節関係なくいつも身に着けてられるし。
って、え?指輪?
「…………………………」
じわっ、と顔が熱くなるのが分かる。
指輪ってお前。クリスマスに指輪って恋人みたいだ。恋人なんだけど。そんなロマンチックな場面に突入しないだろうしいきなり指輪なんて彼女も困っちゃうだろうし。
まだガキだし。結婚とかまだ早いかな。いやもうオレたち愛し合っちゃってるから良いかも。婚約指輪的な意味で。
「(指輪に一票)」
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや。
無いわー。オレ本当無いわー。
きっとあげるタイミングを掴もうとしてポケットに入れたまま25日が過ぎるに決まってる…。あれ?オレそんなにヘタレだっけ…。
そうしてオレは悩んだ結果、商店街と呼ばれるアーチを潜り抜け、色々な店が並ぶそこでパッとするものを探すことにした。
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