ダブルアーツ

□Merry X'mas!
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ふと可愛いうさぎのぬいぐるみが目に入った。彼女はこういう可愛いが好きだった気がする。オレの作ったぬいぐるみには厳しいコメントが飛んでくるがこれなら可愛いですね、ってふわりと微笑んでくれる筈だ。
そしてキラキラと輝く装飾を施されたピンを見つけた。細くて細かな可愛らしい装飾は濃紺。派手さとしては控えめだが、きっと彼女の空色の髪に似合うだろう。
『Merry X'mas』
そう書かれたメッセージカードと共にその店にて包装してもらう。薄いピンク色の箱に緑と赤にセンス良くデザインされたリボンが付けられた。
小さな街では無いがこの街には仲が良い人も多くて、この店のお姉さんも例外じゃなかった。ニヤニヤしながら包装を終えた商品を手渡してくれる。


「恋人さんに?」

「はは…」

「羨ましいわぁ。」


キリくんてば意外とウブなのね。
その言葉には軽く返事を返しておいた。そうでは無いとは思っていたけれど、そうかもしれない、と思ってしまったから。
ドキドキして、彼女が喜んでくれることしか頭に浮かばない。きっと綺麗に笑って喜んでくれて、ありがとうって。
早く言われたくて。



家路につく足取りは軽い。彼女へのプレゼントを大事に抱え、足の回転を早くして道を進んだ。商店街から外れ、家に続く一番の近道を歩もうとしたその時、ふと"ソレ"が目に入って、オレは足を止めたのだった。




―――――――――――――…


「あっ、キリさん。おかえりなさい!」

「ん。ただいま。遅くなってごめん。」

「いえ、雪大丈夫でしたか?もうお夕飯の支度も出来てますから、着替えたら…。私、ミンクさん達と待ってますね。」

「服は大丈夫だから、一緒に行こうよ。あ、タオル借りて良い?」

「はい!」


日が沈んで雪が強くなり早足に帰ってくると店先で彼女、エルーがオレの帰りを待っていた。
タオルを準備して待っている当たりからもう良いお嫁さんになるよ!って星5つあげたくなる。そしてそのタオルを受け取り雪でしっとりと濡れた髪を拭いた。
タオルを簡単に畳み左手に持つと、彼女と共に向かおうとする。そこで、やっぱり手を繋いでいないと落ち着かなかったりするわけで、いつものようにエルーの手を取って、それからリビングへと足は急いだ。










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