ダブルアーツ

□もう寒くないよ、
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「寒い、な」
「そうですね」


静かな二人きりの帰り道。キリとエルーは呼吸のたびに流れる白い息を見ながら、首もとのマフラーに顔を埋めるようにして歩く。ただ黙々と。
ローファーの足音を響かせるコンクリートを踏みつけながら、2人は無言で帰路についていた。曇り空と道路の隅に残った雪が身も心も冷ましてくる。
そんな灰色の世界と無音は2人の間に出来た隙間をもっと寂しく感じさせる
そんな空気があまりにも静かで、ちょっとだけ冗談を言ってみたくなった。


「手、繋いでいい?」
「…え?」
「……嘘。ジョーダン」


それも嘘。本当は繋ぎたかった。目を丸くした君の、冷たそうな指先を包んで見たかった。体温を分け合ってみたかった。彼女と出来るのならば、そんな形に残らないやり取りも、一生忘れられない幸せになるのではないかと。暖かい気持ちになりたい。ぎゅってしたい。手を、繋ぎたい。
それでも現実として、2人の間には人1人分の隙間が空いている。



「寒い、ですね」
「そうだな…」



また少し歩いたところで先程の会話が繰り返される。
退屈に思ったのだろうか。そう思って彼女の表情を盗み見てみても、変化は見られなかった。ただ、寒そうに目を伏せ、マフラーに鼻まで埋めていた。自分もまた、変わらず前を向いて歩く。


「(…あ、雪…)」


舞い降りた白にぼんやりとそう思った。どおりで寒いわけだ。
雪が降ってきた。


「さむい、ですね」
「…うん、」


三回目の会話でコートが摘まれた。立ち止まる。2人分の足音が止む。無音。
振り向くと自分の手より幾分か小さくて細くて、雪のように真っ白い指がコートを掴んでいた。
その動作があまりにも可愛くて、少しだけ笑ってしまった。
それが合図。




「まだ、寒い?」
「……、」






もう寒くないよ、
(2人の間にはもう一人として入る余裕が無い。)(つまり、そういうコトです。)











――――――――――

ちなみに
なお汰は降っている雪を生で見たことが無いです\(^p^)/

なんかもう待たせた割にはショボい作品になってしまって申し訳ありませんでした(´;ω;`)!
心と愛はしっっっかり込めました!

匿名様、素敵なリクエストありがとうございました!(´∀`)




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